line

バックナンバーに戻る

バレンシア教室のあるバレンシア、トレンテを中心にスペインらしい(?)
楽しい、時には真面目なごくごく身近な日常のニュースを毎月一度お届けします。
遠く離れた皆様に少しでもバレンシアの温かい雰囲気を感じて頂けたら幸いです。
(バレンシア在住/柳川佳代)


【2001年2月号】

「LAS CUENTAS DEL HOGAR 」 (スペインの家計簿)

年末年始が終わってみればせっかくの冬のボーナスもどこへやら…と毎年ため息をついてる方も多いのでは。 今月号は日本人向けスペイン情報誌「OCS NEWS」(2000/11月号)にお金にまつわるスペインの興味深い記事を見つけたので紹介したいと思います。以下「OCS NEWS」(2000/11月号)記事一部抜粋。
政府統計局は2000年度第2四半期のスペイン全国の家庭の支出に関するアンケート調査の結果をまとめ、報告した。それによると、第2四半期のスペイン家庭の全国平均支出額は1カ月平均約260,354ペセタ (約153,608.86円)で、前年度同期比7.08%の増加となっている。その内訳は、食費、飲料費、たばこが計1カ月平均55,066ペセタ(約32,488.94円)、それ以外の項目は、計1カ月平均205,288.66ペセタ(約121,120.3円)となっている。
banco3.jpg

今回のアンケートで目立つのは、家計支出額の非常に急激な増加が示されていることだろう。この傾向は前年度末頃から顕著になってきたものだ。今期も、物価上昇率を差し引いても平均6%増で、食費は6.72%、それ以外の項目も5.78%の増加となっている。これを自治州別に見てみると(第2四半期平均)、マドリッドがやはり1人当たりの支出の最高額を記録しており311,128ペセタ(約155,564円)、第2位ナバーラ306,465ペセタ(約180,814.35円)、第3位カンタブリア290,518ペセタ(約171,405.62円)となっている。また反対に最低額を記録しているのがエストレーマドゥーラで192,733ペセタ(約113,712.47円)、ついでアンダルシアが216,306ペセタ(約127,620.54円)となっている。また、全体の8%の家庭が家計が「非常に苦しい」と答えており、「苦しい」14%、「多少苦しい」29.5%で、計51.5%が家計の苦しさを訴えている。その反対に、「全く問題なく、余裕がある」と答えた家庭も1.5%あり、「問題ない」14.8%、「ほぼ問題ない」32.3%となっている。
banco2.jpg
banco1.jpg
そして全体の61.5%の家庭が、貯蓄する余裕はないと答えている。特にカナリアス諸島は81.9%が、マドリッドでは75.4%、セウタとメリーリャでは69.7%の家庭が、貯蓄する余裕はないと答えている。その一方で、カスティーリャ・イ・オンでは53.5%が貯蓄する余裕があると答えており、次いでバスク49%、ムルシア47.7%が貯蓄する余裕があると答えている。
(OCS NEWS2000/11月号記事一部抜粋)
上記のアンケート半数以上が「貯蓄する余裕なし」、またその他の出費が非常に多いという結果。 本当に貯蓄する余裕がないのか?またはする必要がないのか?その他の出費とは?
マドリッド等の大都市は物価も東京並みなので上記の結果通り「貯蓄する余裕なし」というのは理解できる。 私の周囲にいるスペインの人々も日本人よりも貯金をコツコツするイメージが薄い。 同じ日本人であっても金銭感覚はそれぞれ異なるのは当然だし、スペイン人でも貯金好き、財テク好きもいる。様々な条件によっても月収平均は大きく異なりますが、私の周囲にいる20代後半~30代でいわゆるニューファミリー世代のスペイン男性の月収は約150,000ペセタ前後(約8,8500円)。上記のアンケートからも食費の1カ月平均は55,066ペセタ(約32,488.94円)。生活費の安いスペインなら十分に貯金する余裕があると思うのですが。
banco4.jpg
私の周囲のスペイン人は「銀行でお金借りる」発言が多い。家やpiso(集合住宅)を購入する場合は 頭金なしで、月々のローンのみで購入してしまう。なんと!新築一軒家やpiso(集合住宅)を購入する場合約300万ペセタが国より援助されるシステムもあるらしい。また「スペインは頭金なしで不動産を買うのが普通なのか?」と質問したところ、「お金がある者は当然、頭金を支払う。がしかしお金がない者は銀行で借りればいいだけよ。」との答え。またこんな話しもある。ある夫婦の子供が結婚を考える年頃になったので、子供の為に結婚式や将来の為に幾らかお金を用意しなくては…という話しになった。その時つかさず、ご主人は「そうだなそれじゃ銀行で借りるか…」。日本人なら息子が結婚するまでに貯金でも…と思いませんか?安易に銀行で借りる発想をするスペイン人なら、安易な理由でお金を貸すスペインの銀行も銀行だよな…。だから(?)かどうかは分かりませんが、スペインの銀行はとても元気がいい。例えば、定期貯金の利子が1カ月5%もついてしまう銀行もあるのです。日本の銀行じゃありえない話しですよね。
banco5.jpg







ある企業に勤務するスペイン人の話しでは、退職後も年金としてそれまでの収入の約90%が支給されるそうです。年金が安定している為に日本人のように老後を考えて貯蓄を真剣にしなくても良いようです。銀行からは簡単にお金を借りられるし、バレンシアでは平均的住宅ローンは約15年と聞きます。
銀行でお金も借りられるし、老後の心配も差程する必要がない社会なので、結果的に日本より貯蓄する傾向が薄いのではないでしょうか。がしかし今日のスペインでも日本と同じように少子化が進み、将来の高齢化社会が問題になり始めており、その生活スタイルを変えなければならない時代になりつつあります。 スペインも日本社会のように先行きばかり考え今を楽しめないスタイルに変わってしまうのでしょうか?日本人の私はのんびりしたスペイン社会に不安も抱きまた反面、日本のようなセカセカしたスペインを見たくない気もします。日本のバブル時期のように最近のスペインは建築ラッシュでもあり、物価も上昇しています。 来年はユーロ通貨も導入され、スペインの社会、各家庭の家計簿はどうのように変わっていくのでしょうか。 *注<以上は周囲にいるスペイン人から話を聞いての私の個人的な感想です。