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バレンシア教室のあるバレンシア、トレンテを中心にスペインらしい(?)
楽しい、時には真面目なごくごく身近な日常のニュースを毎月一度お届けします。
遠く離れた日本の皆さんに少しでもバレンシアの温かい雰囲気を感じて頂けたら幸いです。


【2001年4月号】
3/25(日)よりサマータイムになり日本との時差が7時間となりました。
テレビ、ラジオ等が前日にサマータイムの開始を告げ、私は寝る前に時計を1時間進ませました。 そして3/12~19の8日間、バレンシアではスペインの三大祭りのひとつ「火祭り」が行われました。 今回の4月号、5月号と2号にわたりガイドブックには書いていない私の目で見た火祭り レポートをお送りしたいと思います。(バレンシア在住 柳川佳代)

「LAS FALLAS」(火祭り)

3/12~19の8日間、スペイン三大祭りのひとつ、バレンシアの 火祭りが行われました。この祭りは別名「サン・ホセの火祭り」とも呼ばれ、 これは大工達が自分の守護聖人であるサン・ホセの日である3/19に仕事納めとして焚火で 木屑を燃やした事に由来、それがだんだん形を変えて、現在のような木と紙で作った人形を 燃やすスタイルになりました。 またこのサン・ホセの日にはスペイン人の「ホセさん」達(JOSEという名前は スペインでは最も多い名前のひとつ)は自分の第2の誕生日のように祝います。
3/16から19まで"Madera y carton"という名の張りぼて人形が街中に飾られ、それらには世界の またはバレンシア各地域の現状を風刺したものが多く見られます。 芸術的にすばらしい作品ももちろんありますが、少々エロティックな物や、超太った人、偽物 ピカチュウ、シンプソンズ、中国と日本がごっちゃになった作品等、外国にありがちな感覚の 張りぼて人形もありました。今年は約370体の巨大な張りぼて人形、300体の小型張りぼて人形が制作され年々その大きさが競われています。今年の火祭りで最も背の高かった人形は"Najordana"という名の巨大なピノキオ人形でその高さは30mにも達し人気を集めていました。(右写真)
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バレンシア市内に行くと1日数回バレンシアの民俗衣裳を身にまとった長蛇の行進を目にします。 これは"Falleros/Falleras"と言って、バレンシア各地域を代表して集まってきた人達です。 これを希望する人々は多額の寄付をし、日本の着物程度の金額を費やした衣裳を身に付けて 、火祭り期間中は夜通しこのように活動します。
もちろんバレンシア中心に限らず各地域でもこの行進は行われますが、観光バス等で一斉にバレンシア 中心地に移動してくる団体が多く、私も地下鉄でこのグループと遭遇しましたが、車内で既に盛り上がって 歌え、踊れの大騒ぎ!この人達が電車を降りれば駅のホームでは楽団も待ち構えての更なる大盛り上がり! バレンシア人がこの祭りを1年間どんなに待ち望んでいたのが伺え知れました。
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さらに"Falleras mayor"という"Falleros/Falleras"の代表がいます。彼女達は各地域から毎年 選ばれ、1年間火祭りの友好大使的な仕事をこなします。火祭り最後の夜に自分の地域の張り子人形に火を 灯すのも彼女達の仕事です。この"Falleras mayor"になる為には以前は名家の出身であるということが重要とされていましたが、時代が移ると共にその選抜基準も変化してきたようで、今日ではまず、彼女達の父親に経済力がある事が最も重要で、その次ぎに家柄、彼女自身の容姿、知性…簡単に言えばお金持ちの娘さんしかできないって事ですね。なぜらならば彼女らの父親はおよそ15,000,000pts(約1000万円)をこの火祭りに費やさなければならないからです。張り子人形が年々大きくなり、火祭りが大きくなるにつれ莫大なお金も必要となる訳です。
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さて"Falleros/Falleras"の行進はなんの為?どこに向かって歩いてるの?と申しますと バレンシア市の中心にあるカテドラルの裏手の広場に"Basilcia"という教会がありまして、 その正面に設置された木製の巨大マリア像(左写真)に向かっているのです。このマリア像、 祭りの始めは木の骨組みが丸出しですが最終日には"Falleros/Falleras"やおよそ10万人の バレンシア市民が捧げた花々で美しく飾られます。祭りの翌日にはその花をひっこ抜いて 持ち帰る年配の方達も見かけます。
3/1~19はバレンシア全体に爆竹の爆音が鳴り響きます。市役所前では"Mascleta"という 爆竹が仕掛けられ午後2時の鐘と共にものすごい爆音、地響きがする迫力。これが約5回続き 最後にポーン、ポーン、ポーンと3発なると終わりの合図。これを確認してバレンシア市民は 昼食に入る訳です。期間中の最後の3日間は、この爆音をバレンシア市役所前で聞こうと たくさんの人々が集まります。それなりの近い 場所で見たいならば開始の1~2時間前には現地に行って場所取りをしなければなりません。 下の写真のように爆竹が仕掛けられます。これはトレンテ市の物です。
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ちなみに私は1時間前に行き、陣取り。3月と言えども気温は30度近く、人は多いし、もちろん座る場所など なく炎天下に立って1時間待ち続けるのはけっこう辛い。この際には必ず帽子とサングラスを忘れずに。 ここで語るまでもないでしょうが、"Mascleta"最中は見物客が大興奮!終了後はランチにレストランへ大移動!1cm位ずつしか前に進めないので予め覚悟していた方が良いでしょう。私は1時間程歩いて市内から 少々外れたレストランまで行きました。中心地のレストランはどこも満席、味は落ちるし、値段がはね上がっているので体力がある方は少し遠くまで足を伸ばした方が良いでしょう。足を伸ばすと言っても海岸沿いの レストランでパエリアを食べようと思っても不可能に近い。どこも予約で満席。運良く席が取れたとしても 通常の値段の数倍、またぼったくられないように注意しましょう。待つのも、暑いのも、人の多さもこの不快を"Mascleta"の楽しさの1つと考え大騒ぎに溶け込んでしまうのが楽しむコツでしょうか。
=5月号につづく= 5月号は火祭りのクライマックス!張り子人形への点火、この時期の食べ物等ご報告!