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バレンシア教室のあるバレンシア、トレンテを中心にスペインらしい(?)
楽しい、時には真面目なごくごく身近な日常のニュースを隔月に一度お届けします。
遠く離れた皆様に少しでもバレンシアの温かい雰囲気を感じて頂けたら幸いです。


【2001年5月号】
4月号に続き今月号も火祭りレポートをお送りします。今月号は最終日の張り子人形が夜空に舞い上がる様や、伝統的な食べ物等のご紹介です。4月末のバレンシアの天気は変わりやすかった。5月1日なんてヒョウが激しく降り、竜巻きまで発生!春祭り開催中だったセビージャでも大雨。Barcelonaでは雪まで降る始末!どうしたスペイン!!って感じです。(柳川佳代)

「LAS FALLAS」(火祭り)

夜には張り子人形はライトアップされまた別の美しさをまします。そして地域毎に光りのイルミネーション が始まりそり一層バレンシアの街を美しく飾ります。このイルミネーションも順位が競われます。右手の写真の物が今年の一等賞。写真では分かりにくいですが光りのトンネルになっており、あまりの美しさに私も興奮してしまいました。
午前1時頃には城付近で真夜中の花火大会が開催されます。日本のように「たまや~」と情緒を楽しむ余裕なく勢いよく次々舞い上がります。"Falleros/Falleras"達の行進も真夜中まで続き夜型のスペイン人ならでは ですね。火祭りを真夜中まで楽しんだ人を起こすかのように"Desperta"と言う名の爆竹が期間中の午前8時に 鳴り響きます。疲れ果てた"Falleros/Falleras"達はこれで起きる訳はなく、昼頃に起き、夜の為にまた準備にかかります。バレンシアを語る際にはこの"爆竹"は欠かせません。火祭り期間中は路上でも子供達が遠慮なく爆竹を投げあって遊んでいます。私は幾度も驚きながら歩いていました。また、結婚式やおめでたい儀式の際には必ずこの"爆竹"が登場します。元気で明るいバレンシア人らしい伝統ですね。
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そして、伝統と言えばこの期間中に"Bunuelo"、"Churro"とホットチョコレートを食す伝統があり ます。簡単に言えば"Bunuelo"は、かぼちゃの揚げドーナッツ。"Churro"は細長い揚げドーナッツ。 給食の揚げパンのような感じです。それにたっぷりとホットチョコレートをつけるのがバレンシア流。 さほど甘党でない私は2,3個でギブアップ。一袋300pts位(約200円)で販売しています。 バレンシアの街中には"Bunuelo"、"Churro"を売るスタンドが立ち並んでいます。空いてるからといって客がいないスタンドに行くと冷めた物を売られるのでやめましょう。少し待ってでも客がいて回転が早いお店で。 しかも少し中心地から離れたお店がいいでしょう。中心地だと外国人には高めの値段も言うお店もあるので。
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3/19最後の夜10時~人気投票1位になった物を残し、まず小型の張り子人形から簡単なセレモニーを経て、燃やされ始めます。この写真のように張り子人形に爆竹が仕掛けられ、ガソリンをまき、時間差で各地域の張り子人形が順に燃やされ始めます。この頃にはあちこちでの歓声と黒い煙りを見る事ができます。バレンシアの市役所前の巨大張り子人形は午前0時~燃やされるのでそれまでは色々な張り子人形 の燃やされる時を巡り歩いても良いでしょう。市役所前のは、なかなか近くでは見られないので他の張り子人形の時に真近くで見ておくのをお勧めします。ちゃんと爆竹を仕掛けたり、"Falleras mayor"が張り子人形に点火する瞬間や、または炎の暑さ、火の粉までかぶる事ができますよ。
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そして午前0時。人々の足は皆、バレンシア市役所前を目指し大観客が見守る中、儀式の始まるを告げるかのように花火が勢いよく空に舞い、張り子人形に点火されます。右手の写真が市役所前の風景です。 今年の張り子人形で最も制作費がかかった物はおよそ28,000,000pts(約1900万円)だったそうです。その莫大な費用もバレンシア人の気持も全てがものの数分間で灰と化します。近くには消防車が待機しておりそくざに消防にかかります。バレンシア市街の小さい町でも夜3時頃までには全ての張り子人形が灰となってしまいます。私の住む街に帰るすがら、幾つもの夜空にたち上る黒い煙りをみました。疲れきって家路を急いでいた私でしたが、ふっと心寂しくなりました。
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この時期、スペイン人のように夜通し遊んでも良いでしょう。がしかし一部の地下鉄は一晩中15分毎に運行していますし、TAXIもあります。レンタカーもいいでしょうが、中心地から徒歩30分以上離れた場所でないと駐車する場所はありません。トイレも近くのカフェのが使えます。がしかしものすごーく汚くなって機能していないのがほとんどなので覚悟をしておいた方が良いでしょう。このように、いつもどこかのんびりしたバレンシアでは考えられない程の人々がこの火祭り期間中バレンシアに集中します。 この火祭りを皮切りに闘牛のシーズンも到来し、バレンシアに本格的な春が訪れます。そして火祭りを名残り惜しんでいるのも束の間、張り子人形職人達は来年の人形を1年かけ制作し始めます。バレンシア人の想いは去っていく寂しさとともに来年の火祭りへの期待、楽しみでいっぱいのようです。 機会があったら是非一度、火祭りを見にバレンシアを訪れてみてください。