スペインタイルアート工房 東京・大阪・宮城女川

スペインタイルギャラリー

2019年1月号

スペインタイルアート工房に通われる生徒さんの作品や、展覧会、イベント等の様子をこちらでご紹介します。
今回は東京教室の生徒、GENさんの作品をご紹介します。バックナンバーはこちら

 スペインタイルアート工房卒業生のGENです。
 卒業生の1人として現在までの活動内容について記事を書かせていただく事になりました。通年コースを修了して10年以上も経っている割には大した内容ではありませんが、ご容赦のほどを。。。

 私は2001年末にトライアルコースでマヨルカ技法のタイル時計を制作しました。
 2時間ほどで絵付けしたタイルは「焼成後にお渡しします」と言われ、「あ、そうか、これって焼き物なのか」と改めて認識、焼成後に自宅に送られてきた時計の文字盤が、自分が想像していたよりもきれいな色味をしていたことにいたく感激し、2002年から工房の通年コースを受けることにしました。

 講師資格が目標ではなかったのでカリキュラムの進捗も遅く、なんとか全てを終了したのが2007年。卒業後は専門コースを習ったり、自分流でタイル風景画などを作ったりしていました。
 忙しいこの世の中で、目的もなく、ただ、だらだらと制作しているというのも恵まれた話ですが、絵付けをするのが楽しくて、それを何年か続けていたら作品数がかなり多くなってきて、さて、これからどうしよう?と、はたと考え込んでしまいました。

 卒業生の中には、お教室を開いて生徒さんを教えている方、タイル作品をネットやイベントで販売している方、お客様からタイル作品の注文を頂いて制作している方、装飾タイル施工のお仕事を展開されている方など、多方面で活躍されている方達が多くいらっしゃいます。

 私は自分が教室運営にも販売にも注文制作にも向いていないと承知していたので、ひたすら作品を作り続けていたわけですが、制作のモチベーションになるかも、と思い個展を開くことにしました。
 最初の個展は2011年4月、東日本大震災の翌月でした。ギャラリーは神奈川県川崎市でしたが、当時はまだかなり大きな余震が続いていましたし、ギャラリーが入っているビルで計画停電があるかもしれない、など不安な中での開催でした。
今、思い返しても不思議なのですが、そんなに大きな災害があったにも関わらず、個展には多くの方がいらしてくださり、作品や額装に関する意見などを熱心にお話ししてくださったのが印象的でした。

 その2年後に個展を、さらに2年後に工房卒業生の友人2人と一緒に作品展を、また2年後に同じ友人2人と2度目の作品展を開催しました。
 すべての作品展に共通することですが、来場した方のほとんどすべてが、スペインタイルを見たことも聞いたこともない、という方たちばかりでした。「七宝焼きとは違うの?」とか「日本の焼き物との違いは何?顔料とか釉薬は日本の焼き物とどう違うの?」など、自分の勉強不足から答えられない質問ばかりで赤面するやら困惑するやら、でしたが、じつに多様なご意見、ご感想を伺うことが出来たのです。同時に、作品を見ていただく事の緊張感と高揚感、そして楽しさと面白さを知りました。

 とはいっても、ある程度まとまった数の作品がなければ作品展は開けません。
 私の制作ペースでは、一つのタイル風景画を作るのに最短でも2~3カ月の時間を要するので、2年に一度の開催がやっとの状況です。
 そんなある日のこと、ときたま工房でお会いする方に「公募展に出品なさったらいいのに」と言われました。それが2015年末の事でした。

え~( ゚Д゚)!??  
 でも、面白そうかなぁ。一度出してみるのも社会勉強の一つかな、と思って出品したのが2016年4月の『第43回(※)近代日本美術協会春季展』です。

 ここで思いもよらず「新人奨励賞」をいただきました。


「ボルゲーゼ公園」 30cm×22cm

 賞状と記念品を頂き、すっかり嬉しくなって、2016年秋に開催された『第43回近代日本美術協会展・小品公募部門』に6枚組作品を出品、今度は特選を受賞しました。


「イタリカにて」 45cm×30cm

(※) 近代日本美術協会は年に2回、公募展を開催しています。
春季展(大きさ3号サイズ~10号サイズまで)と
秋の協会展【①小品公募部門(8号サイズ~20号サイズ未満)と
②一般公募部門(20号~100号まで)に分かれて公募】です。

 それ以降、2017年4月『第44回近代日本美術協会春季展』に出品、奨励賞受賞。


「セビリアのスペイン広場」 30cm×22cm

 2018年4月『第45回近代日本美術協会春季展』に出品、奨励賞受賞。


「ブリュージュの眺め」 30cm×22cm

 それまで近代日本美術協会展だけに出品していましたが、2018年8月に
『第31回上野の森美術館 日本の自然を描く展』に出品。こちらは入選でした。


「渓の紅葉」 30cm×30cm

 

 話が前後してしまいますが、実は、2017年近代日本美術協会展・春季展に出品した際、協会の理事長から秋の協会展に一般公募部門(20号~100号まで)で出品したらどうか、と勧められました。

 20号以上となると15cm角タイル20枚組以上の作品を作る必要があります。
今までに作った一番大きな作品が12枚組でしたから、20枚組以上となると制作日数がどれぐらいかかるのか、全く見当もつきません。

 結局、2017年秋の一般公募部門出品は無理と判断、2018年の出品を目指して、2017年晩秋から準備を始めました。

 モチーフと構成を決めて、最終的に24枚組タイル作品を制作。『第45回記念 近代日本美術協会展・一般公募部門』に出品しました。


「アルバイシン地区とサクロモンテの丘」 90cm×60cm

 この作品は優秀賞を受賞しました。

 同時に小品公募部門に6枚組を出品し、こちらは入選でした。


「マルタ島のポパイ村」 45cm×30cm

 スペインが好きで絵画が好きで
 両方の「好き」が合致したスペインタイルを初めて今年で17年目になりました。

 常に的確なアドバイスをしてくださる工房の先生方に改めて感謝したいと思います。スペインタイルと出会っていなかったら公募展に出品するなんて夢にも思わなかったでしょう。

 今年は5月に、3人の工房卒業生と一緒に作品展を開催予定で、秋には工房の作品展があります。公募展への出品も無理せず出来る範囲で続けていこうと思っています。

 好きな趣味を続ける方法は千差万別ですが、とにもかくにも楽しみながら続けていくのが一番ですね!

GENさんのブログはこちら→「タイル作りの日々