スペインタイルアート工房 東京・大阪・宮城女川

2019.4〜5月 スペイン・ポルトガル タイル巡り
第4回 オスーナ前編

オスーナ

アンダルシア州の州都セビリアから東へ80キロ、バスで1時間余りの人口約18,000人の街です。
この街は1558年に建国されたオスーナ公国の都で、3か所のタイルが素敵な建物があると聞き訪問しました。
オスーナ公爵家はスペイン屈指の大貴族(グランデ)です。

*オスーナの街にはタクシーがありません。また街の中心部から鉄道駅・長距離バス駅までの公共の交通機関がありません。
 訪問される方はご注意ください。

カジノ(Casino)

1か所目は、街の中心的な広場(マヨール広場)に面したカジノです。カジノは日本では賭博場の意味ですが、スペインでは街の住民達がコミュニケーションを図る社交クラブといった場所です。

住民しか入れないところもありますが、ここは一般の人も入場可能で、1階には広いバル(カフェテリア)があります。
バルには重厚そうな椅子やテーブルがたくさんあり、壁にはクエンカタイルがいっぱいでした。

カジノの外観です。外壁にタイルが貼ってあります。四角形の広場の1辺がカジノの建物でした。左側に広場に面して大きな窓があります。
大きな窓の部分を内側から撮影
横長長方形が1つの部屋になっていて、壁にはクエンカタイルがあります。すごく落ち着いた雰囲気です。



その奥の部屋は籐の椅子セットがあり、また壁にはクエンカタイル。植木鉢にも、クエンカがはめ込んであります。


またその奥にバルのカウンター。クラシックな昔風のバルです。壁の上部にもタイルがあります。
バルカウンター横のタイルは、マヨルカタイル

2階への階段壁のマヨルカタイル

参事会教会(Colegiata de Santa Maria de la Asunción)

2か所目はルネサンス様式の建築(16世紀)の参事会教会です。
この中には歴代のオス-ナ公爵の柩が収められています。

マヨール広場から見た教会、高台にあるのがよくわかります。
参事会教会の入口
入口の周りにタイルが貼ってあります。 教会の外壁にこのようなタイルが貼ってあるのは珍しいです。

入ってすぐにあったタイル
教会内のクエンカタイル。
修復されていたため、はっきりとして綺麗でした。
教会内のクエンカタイル
上段のアップ。これは、オスーナ公爵の紋章です。
狭い通路の両脇の壁にもタイル。同じデザインが続いています。
この部屋の両脇には、歴代公爵の柩が収められています。
床タイルもクエンカ
別室のクエンカ
天井もクエンカ。全て同じデザインのようでした。
こちらは修復されていないようです。
アップ写真。一番上の十字のデザインは初めて見ました。
教会内部の祭壇。とても立派でした。

エンカルナシオン修道院(Monasterio de la Encarnación)

3か所目は今回の旅で1番楽しみにしていた、修道院の18世紀のタイルです。

修道院の外観です。
外壁にあった古そうなタイル

中庭の中央に噴水があり、それを囲む回廊1階、階段、2階の全ての壁面にマヨルカタイルがあります。今までご紹介した通り、回廊のタイルというと一般的にはクエンカタイルで同じデザインを連続的に描くものが圧倒的に多いです。しかしここのマヨルカは、同じデザインはなく全ての絵柄が違っていました。素晴らしくて、全てのタイルを写真に収めたかったくらいでした。



1階壁面のタイル。デザインは、5感(視・聴・嗅・味・触)、 四季の風景、昔の生活など色々なテーマで描かれていました。
左の女性が水に映った自分の顔を見て、右の女性は鏡に映った自分の顔を見ています。これは、五感の「見る」を表していると思われます。
野山で寛ぐ女性たち。おしゃべりしたり、楽器を弾いたりしています。

男性たちの戦いを描いています
狩猟を描いています


兵士の髪を切っています。面白い。
真ん中の3人の男性が火鉢?のようなものにあたっていて、頭上にはINVIERNO(冬)の文字があります。その右側の女性は、収穫したものを両手に持っていて頭上には「秋」と書いてあります。
修道女さん達の祈っている姿が描かれています。
細かいですが、昔の人々の様子が描かれています。
階段のタイル



ここから2階の回廊のタイル。
1階のタイルより、高さが低く描かれています。


湖?で男女が釣りをしています

狩猟をした獲物をこれから捌いて、調理するようです。

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