スペインタイルアート工房 東京・大阪・宮城女川

おながわ教室便り

宮城県女川町の女川教室より 工房や街のことなど、女川情報を隔月でお届けします。バックナンバーはこちら

【2022年10月号】
10月に入り朝晩涼しく、一層秋らしさが増してきました。私たちの工房では、秋は「メモリアルタイルの設置」の季節です。今年も女川の街にカラフルなタイルの彩りが増えました。(女川教室 阿部由妃乃) バックナンバーはこちら

 今年も商店街に「メモリアルタイル」を設置しました。
 メモリアルタイルは『スペインタイルで街に彩りを』というコンセプトのもと、絵付け体験でお客様が作られたサイン入りのタイルのこと。2016年から毎年秋に女川の商店街に設置しています。

 元々、スペインタイル作りは震災後に始めたのですが、そのきっかけというのがスペインのガリシア地方と女川町に異文化交流の計画が持ち上がったということ。

 私たちの工房がある女川町は、宮城県の東部、牡鹿半島の付け根にあります。漁港があり養殖が盛んな「海の町」。2011年の東日本大震災では津波で町の約8割の建物が流失するという大きな被害を受けました。

 異文化交流の話が上がったスペインのガリシア地方は、屈曲したリアス海岸や人口規模、豊富な海洋資源など女川町と共通点が多いのがその理由です。

 その先駆けとしてのスタートが、スペインの街並みを明るく彩っている「スペインタイル作り」だったのです。

 震災の翌年、スペインタイルアート工房のスペイン研修に代表が同行させていただき、初めて実際にスペインの鮮やかな街並みを見て心の底から感動、『色を失くしてしまった女川の街にスペインタイルで彩りを添えたい』そんな目標を掲げて工房をオープンしたのであります。

 残念ながら異文化交流はできていませんが…。

 話は戻りまして、今年の設置日は朝から風もなく曇り空。タイル貼り作業には好都合の天候…と思いきや途中から雨がパラパラ。でも何とか順調に進みました。

 メモリアルタイルの今年の設置は、商店街のお店の基礎部分。 7.5cmサイズが768枚。 お店で作られたお客様のほかに、修学旅行生や県外の学生の団体さんも参加してくださいました。以前からご縁をいただいている横浜の中学校の生徒さんが授業で作ってくださったものもたくさんあります。

 遠くから見るとこんな感じ。

かまぼこ屋さん「蒲鉾本舗 高政」様

クラフトビールのお店「ガル屋beer」様

 最上部の左から5枚目にある「女川高等学園」という文字から左半分は、女川の支援学校を来春卒業される生徒さんと先生が卒業記念に制作したもの。学校に出向き、授業で一緒にタイル作りをさせてもらいました。地元の学校の皆さんが参加されるのは嬉しいものです。

 沢山のタイルはそれぞれ皆さんが観光の記念で作ったもの、震災学習を兼ねてのワークショップで作ったもの、中には「一度体験して楽しかったからまた作りに来たよ」という方もいらっしゃり、いろんなきっかけで今年も多くの方にご参加いただきました。カラフルな彩りを見て、感謝の気持ちでいっぱいです。

 震災を経験した街ではありますが、ただ単純に「タイルがキレイ!可愛い!」「作るのが楽しい♪」と言って来て下さるお客様が増えていること、とても嬉しく思っています。

 メモリアルタイルを作る体験は継続中! 来年も沢山のカラフルなタイルを貼れますように。
 スペインタイルが女川の一つの名物になればいいな、なんて思います。



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