スペインタイルアート工房 東京・大阪・宮城女川

2024.10月 スペイン北部への旅
第1回 レルマとブルゴス

5年ぶりにスペインを訪れました。
スペイン北部は他の地域と比べてタイルは少なめですが、素敵なタイルを見ることができました。

レルマ (Lerma)

スペインの首都マドリッドから北へ約200キロ、人口約2500人の街です。今回マドリッドからバスで2時間程かけて訪問しました。

この街は1598年-1618年の間にフェリペ3世の寵愛を受けたレルマ公爵の元に栄えました。スペインで最も美しい村の1つに登録されています。


サン・ブラス修道院 (Convento de San Blas)

17世紀初頭に建てられた建物で、現在14名の修道女の方が生活しています。
お菓子を作り販売している修道院は多々ありますが、こちらの修道院ではなんと陶器を制作、販売しているとのこと。今回調べて初めて知り、陶器目的で訪問しました。

修道院の外観。中央のアーチが教会の入り口で、装飾などはあまりなかったのですが、落ち着いた雰囲気の教会でした。内部は撮影禁止でした。

右の方に別の扉があり、そこに手描きのタイル看板がありました。
「Cerámica San Blas」 (Cerámica とは陶器を意味します)
とてもかわいらしい感じの看板でした。

扉を入ると小さな部屋があり、タイル画と見本のショーケースがありました。ショーケースは3段に分かれており、1段目が陶器、2・3段目が磁器でした。 奥にまた扉があり、そこが売り場となります。

お菓子は非対面式の回転扉で購入しますが、陶器は対面式で販売されています。しかし商品の陳列棚と私の間には、天井から格子の戸があります。
修道女の方がいらっしゃるので、格子の間から商品を見て見たいものを伝えると、修道女の方がそれをとって格子の間から渡してくれるので、それを見るという形式になっていました。
実際見てみると、すごく丁寧に一筆一筆描かれていて、プリントタイルかと思う位でした。祈りを込めて描いているとのことで、折角なので購入しました。

撮影禁止の表示はなかったのですが、この部屋では写真は撮影しませんでした。制作過程等が以下のwebに掲載されていますので、ご参照ください。
webを見て、日本から訪問したことを伝えると修道女の方が喜んでくださいました。

陶器の製作工程の説明等

陶器製作工程の写真

レルマ公爵の館 (ホテル)

四方に塔がある非常に珍しい作り。当時は4つの塔のある建物は国王の特権とされていたのですが、国王に特別に許可を得たそうです。

現在は国営ホテルになっており、こちらに今回は宿泊しました。サン・ブラス修道院は隣に建っています。




ホテルの部屋番号がタイルでした。エル・プエンテ・デル・アルソビスボの記載があり、そちらで制作されたようです。(エル・プエンテ・デル・アルソビスボは 2013年の旅行記でご紹介しています)

部屋番号がタイルになっているのは他のホテルでも見ましたが、ここには扉の左一列にタイル装飾がある階があり、このような形は初めてでした。

扉の左側に扉と同じ高さで連続模様のタイル画が10枚並び、上から3枚目に部屋番号が記載されていました。

そして驚いたことにそのタイルの模様と、廊下のカーペットの模様が同じでした。統一されていて、とてもお洒落だなと感じました。

ホテルにあったタイル画。サロンの部屋の外側にありました。
制作したのはサン・ブラス修道院。サインがありました。

レルマの街の様子

公爵の館の前に大きな広場 (マヨール広場) があり、青空駐車場になっています。ここには柱廊の建物等がありました。



マヨール通り (Calle Mayor) にあったタイル画
サンペドロ教会 (Colegiata de San Pedro)

国王と公爵の渡り廊下。外を歩かず近くの建物に移動できたようです。

街の入口にある強固な門。17世紀には牢屋として利用されていました。
スペインで最も美しい村の1つに登録された看板

ブルゴス (Burgos)

レルマから北へ40キロ弱、人口約17万人余りの街です。レルマからはバスで45分でした。
この街はサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路の主要なルートとなっているため、巡礼者を多く見かけました。またスペインの3大カテドラルの1つがあることで有名です(残り2つはセビリアとトレド)。

ブルゴスの街の様子と街なかのタイル


14世紀の門。これをくぐると、すぐカテドラル




カテドラル

史跡などの説明書きタイル。街なかの説明書きがタイルはみな同じ形式でした。上部左右の人物が誰なのかは不明です。

通り名や広場名はこちらの形式のタイルで統一されています。
説明書きタイルの右上の人物と同じ人物が中央にいます。

巡礼路の街なので、ホタテ貝があります

お土産屋さんのショーウインドウ。
やはりホタテ貝のクエルダセカタイル
街中の住居の扉の上にあったタイル
レストランの外にあったタイル。
レルマやブルゴスでは「ASADO」といわれる
子豚や子羊を竈で焼いた料理が有名です。

ブルゴスのレストラン

ASADO料理を食べるためにレストランへ。1階がBARになっており、カウンターがアンダルシアを思わせるアーチでした。面白いですね。




壁には食材やワインを描いた色鮮やかなタイル画がありました
SETASはキノコ類、TRUCHASは鱒という意味です

2階がレストランです。老舗で人気があるレストランでしたが、何とか席を確保できました。週末でしたが予約をせずに早めの時間に行ったところ、殆どが予約席でした。


レストランの壁には、緑、黄緑、黄色系の手描きタイルが沢山ありました。

窓側のベンチになっている部分にも同じタイルが。植物も飾られて同じ緑で統一感があり、安らいだ感じでゆったり食事ができる場所でした。

料理は勿論、子羊のロースト (CORDERO ASADO)。皮がパリパリで身が柔らかくてとても美味しかったです。
写真は食べかけの写真ではなく食べる前の状態です。食べやすいようにカットして、席にもってきてくれました。

第2回 サモラへ