今回は私が陶芸を習っていた時、(かれこれ20年近く前のことですが)作品作りの参考にしていた本をご紹介します。
「KITCHEN CERAMICS」という洋書です。
陶芸初心者だった頃は日本の陶芸の基本を学んでいたので、海外の陶芸にはまったく興味が湧かなかったのですが、上級者になると、色使いや造形に変化が欲しくなり、神田の古本屋街を巡ったり、本屋で陶芸関連の本を探したりしていました。
そんな時、陶芸の先生から教えてもらったのがこの本でした。
実は今でも素地から作品を作る時には必ずパラパラめくって造形のヒントを探すほど、私には欠かせないバイブルなのです。
今回はその中身と、当時それを参考にして作った私の作品を恥ずかしながら少しお見せしたいと思います。
まずは葉っぱ型のお皿。素敵な形のお皿がいっぱいですよね。イギリスで肉や魚を盛りつける伝統的な皿、と書かれています。
私の場合は石膏型をつくって型押しして作りました。本当は見本のようにもう少し深いお皿を作りたかったのですが、出来上がってみたらかなり平たい皿に。。。でもこの皿、取り皿として使い勝手がよく、今でも頻繁に使用しています。
次はフランスのスープボウル。スポンジウエアと言って、スポンジでデザインパターンをスタンプして絵付けする技法です。
私が作ったのはスープボウルではなく小物入れ。
スポンジスタンプの代わりにデザイン部分を掘って、そこにエンゴーベ(化粧土)を埋め込む象嵌(ぞうがん)技法で作っています。
焼き上がった時、先生に「ペルシャ陶器みたいで素敵だね」と言われたのを覚えているのですが、当時はまだペルシャ陶器がどんなものなのか知らず、むしろフランス風に作ったつもりなのに予想外のものが出来上がってしまったな、と当時はあまり気に入っていませんでした。今では実家の食卓で活躍しています。だいたいチョコレートとか小菓子が入っていますね。
そして最後はピッチャー。イギリスのものです。
小さいものはミルクポット、中くらいのものはコーヒーポット、大きいものはウォーターポット、と書いてあります。ボディにもレリーフ模様が付いていたりしてとっても美しいです。
私の場合はワインを入れるピッチャーとして作りました。
この時は工房の展覧会に出展するためにゴブレットもセットで作りました。作品の題名は「フィエスタ de サングリア」。この頃すでにスペインにハマっていたんですね。自分で振り返ってみて驚きました。花印を粘土で作っておいて、焼く前の柔らかい器にスタンプしてくぼみをつくる技法です。イギリスの艶やかな器とはかけ離れたものに出来上がってしまいましたが、アンティーク風な渋い感じの器になりました。
その他にもカフェオレボウルやペッパーポットなど、さまざまな造形が勢ぞろいしていて、本当に何度見ても飽きない1冊です。
そうそう、このバスケット風の器もお気に入りです。
思いっきり日本風に作ったつもりでしたが、どうでしょう?出来上がってみたら西洋風になっちゃった、なんてことも多々ありましたね。
この意外性が陶芸の面白いところだなーと私は思っています。
素地から器や皿を作ってみたい方、どうぞお気軽にご相談くださいね!<KY>