ちょっと前の話ですが、今年の春,初めてトルコに行きました。
教室を始めてからトルコのタイルや陶器の本はたくさん読んでいましたが、実際に古いタイルが貼られた建物を見るのは初めて。イスタンブールの空港で早速「伝統的唐草模様タイル」の壁を発見し、感動!やっと本場のトルコタイルを見ることができました。
イスタンブールのアヤソフィアを初めとし、街にある小さな小さなモスクの中にでさえ何百年も昔のタイルが現役で活躍していました。よく見れば欠けたり割れたりしているけれど、鮮やかな色合いは健在。数百年たっても色あせないタイルの魅力を再認識した次第です。アヤソフィアなどの大きなモスクではタイルを直に触れない所が多いので、地図に名前も書いてないような小さなモスクがお勧め。何百年も前のタイルを目の前に、直に触れてデコボコの感触を確かめたりする私は、周りのトルコ人から見たら変な日本人だったかもしれませんが・・・
古いタイルを少しずつ修復しながら後世まで大事に保存する国トルコ。この国の陶芸学校ではどんなことを教えているんだろう?と興味が湧いて来て、有名な陶器の街であるキュタフヤの陶芸学校へ行きました。校長先生曰く「ヨーロッパの陶芸学校では、どちらかというと現代陶芸に重きをおく傾向があるけれどトルコは違います。トルコの陶芸学校では徹底的に伝統柄、伝統の技法を勉強し、その上でそれを作るために新しい方法はあるか?という応用があります。」もちろん現代陶芸も勉強するけれど、伝統タイルや陶器の作り方をみっちり勉強した卒業後は、地元や地方の陶器メーカーに就職先が結構あるそうです。ホントに伝統を大切にする国です。
トルコの観光地,と言えばカッパドキア。あのキノコのような奇岩群です。あのキノコ岩、特にロープ等も張られていなくて、かなり近く(岩によってはキノコの頭の上にも)まで登れるんですね。ガイドさんに「こんなに人が入って来たら,キノコ岩がどんどんなくなっちゃうんじゃないですか?」と聞いたら「大丈夫、キノコ岩はどんどん生まれてきます。私達が今いるこの岩も数百年、数千年後はキノコの頭の上ですよ」と。岩が風雨に削られてこのキノコ岩ができるそうです。何百年、何千年、という数字を聞いて、自分の人生数十年のちっぽけさ、を痛感すると同時に歴史の重みを感じました。
今回のトルコ旅行では“歴史の重み(それも数百年どころじゃない)と伝統を大切にする心”をいろんな人からいろんなところで教えてもらいました。
今までに、イスラム教徒が大半を占める国へ何度か旅行しましたが、見たいもの、食べたい物を探すのには結構エネルギーが必要で、タフな旅行が多かった、という思い出があります。トルコも国民のほとんどがイスラム教徒の国ですが、食べ物もおいしかったしトルコ人はみんな優しくて、手軽に(?)イスラム文化の良さを堪能できる国、おすすめです。<YF>