昨年の12月に大分県日田市の山奥、小鹿田(おんた)焼きで有名な皿山に行って来ました。
小鹿田焼は、民芸陶器の産地として、今でも伝統的な技法で器作りをしている数少ない焼き物のひとつで、1995年には国の無形重要文化財にも指定されました。
1.村周辺で採取した陶土を、近所に流れている川の水を利用した唐臼で粉砕する
2.砕いた土に水を混ぜ、ゴミを取り除いて粘土を作る
4.天日で十分に乾燥させる
5.カンナや刷毛目で模様を施し、釉薬をかける
6.薪の登り窯で焼成
ざっと簡単に書きましたが、ここまでで、何と3〜4ヶ月もかかるそうです。
それもそのはず、陶土を粉砕するための唐臼は、川の水を引き込んで、それを重り変わりに打っているのですが、その打つ速度がハンパなく遅い…….。
こんな調子で陶土が本当にできるのだろうか……..。
窯元のおじさん曰く、「冬は川の水が少なく、流れが遅いのでこんなもんです。」と、まったく自然に逆らわない様子。
こんな窯元がいまだに存在するのか!とかなりビックリ。
そして私が訪れた日は、今年最後の窯入れの日でした。
年3・4回しか焼かない(と言うか、それ以上は不可能)、その貴重な1回に立ち会えたのは本当にラッキーでした。
一晩中薪をくべ、火を絶やすことなくまる3日間、村の窯元さん達が協力して焼き上げるそうです。
こんなに大変な思いをして作ってるのか、とかなり感動したのですが、職人さん達はそんな苦労を微塵も感じさせない様子。
「自分達は昔からやってきたことを変わらず続けているだけ。」と、みんなケラケラ笑っているのが印象的でした。こういう人達が作っているからこそ、この素朴な民芸陶器が生まれるんだな、としみじみ感じた旅でした。