タイル絵付けを始めると、街に溢れるいろんなタイルが目に入るようになります。旅行しても撮るのはタイルの写真ばかりになりました。何を一所懸命に撮っているんだろう?と不可思議に思われることもしばしば…
そんな写真の中から、今回は床のタイルをご紹介します。
手描きのタイルは壁面に使われるものがほとんどですが、床にもワンポイントに組まれていることがよくあります。通行する場所ではなく、中庭や部屋の一角など、眺めて楽しむことの出来る場所が多いようです。
なぜ地面に使うときはワンポイント程度なのかというと、手描きの”高価な”タイルを地面に使うのはもったいない…という以上に、釉薬(うわぐすり…素焼き素地を覆ったガラス質状の膜)のかかったタイルで地面を覆うと、滑って危ないからでしょう。
こちらはセビーリャのアルカサル。さすが王様の作ったお城は床も豪華。修復されているので工場生産品らしきタイルも使われていますが、昔は全てが手作りのクエンカタイルだったのでしょう。
クエンカタイルは表面に釉薬のかからない素焼きのままの凸部があるため、滑り止めになるのが利点です。そこでこんな床もありました。ただし釉薬がかかっていない部分が表面に露出しているため、踏まれてすり減っていく運命です…
その対策?として、こんなタイル床がありました。これはやはりセビーリャにあるマリア・ルイサ公園の「スペイン広場」、2階(テラス)部分の床です。マヨルカタイルが埋め込まれている部分が、一段低くなっています。これでタイルが踏まれることも少なくなり、滑ることもないかも。ゴミは溜まりそうだし、つまづきそうですが…<R.K>