スペイン人画家、ピカソが眠る場所

みなさん、ピカソのお墓はどこにあるかご存じですか?1
答えは南フランス、エクス・アン・プロバンスです。
このエクスの街からバスを乗り継いで約1時間半程の山あいにひっそりと佇むヴォーヴナルグ城。ここの庭園に奥さんのジャクリーヌと一緒に眠っているんです。2

スペインのマラガで生まれたピカソ。バルセロナの美術学校で学び、画家を志してパリに留学、ニースやカンヌにアトリエ兼別荘を構えて一生涯画家としての人生を全うした人。

ではなぜ彼のお墓がエクスにあるのでしょうか?

エクスといえば、同じ19世紀に活躍したフランス人画家、ポール・セザンヌの生まれ故郷です。セザンヌはエクスの街をこよなく愛し、この街から見える様々な風景をいくつも作品に残しています。中でも有名な絵画「サントヴィクトワール山」は9セザンヌが繰り返し描いた題材で、エクスを象徴する山です。
ヴォーヴナルグ城はこの山の麓にあります。ピカソはセザンヌについて「彼は私のただひとりの師であった」と語っています。実際、42歳年上のセザンヌに影響を受けたピカソは何枚もセザンヌと同じ題材の絵を描いています。

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そしてこの城を購入した時、周囲の関係者に「セザンヌの山を買ったよ」と言っていたそうです。画家としてセザンヌにどんなに近づこうと思っても足元にも及ばないピカソ。ついには尊敬するセザンヌの愛した山に住むことを決意したのです。11
その発想が実に奇抜ですよね。さすがピカソ。

住んでいたのは1959〜61年までの約3年間。ピカソ77歳〜80歳の時です。期間は短かったのですが、この城からの眺めが故郷のスペインの風景と似ていることから、彼の精神に活力をみなぎらせ、勢力的に創作活動をしたとされています。12

ピカソは91歳で亡くなるのですが、この城をとにかく気に入っていたため、奥さんのジャクリーヌはここの庭にピカソを埋葬することに決めました。
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この城を昨年の夏に訪れました。初の一般公開です。現在は城を別の個人が所有している為未公開です。夏の4ヶ月限定、1日100人の入場規制、予約不可、当日のみ配付される整理券をもらうために朝7時半から受付に並んでチケットをゲット。5
もちろん指定された時間に現地集合です。各自バスを乗り継いで集合です。さらに敷地内の撮影は一切禁止でガイドツアーのみの見学、という観光客にはかなり手厳しい条件だったので、ここに載せた館内写真は城でしか売ってない、これまたレアなガイドブックから抜粋したものです。
ジャクリーヌの肖像画はこのアトリエで描かれた作品です。3

でも早朝から受付に並んだ甲斐あって、すごく貴重な体験が
できました。ピカソが眠る庭の芝生に立てるなんて、不謹慎かもしれませんが、夢にも思ってなかったですから…。
<KY>

スペインタイルアート工房HP

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