スペイン北部、アストゥリアス地方の中心都市、オビエド。今年の9月頭に訪れました。アストゥリアス地方は別名、「グリーンスペイン」と呼ばれています。一般的なスペインのイメージは乾いた赤土の大地ですが、この地方は緑豊かな山々や渓谷、湖の広がる恵まれた環境にあります。放畜・酪農が盛んで、牛乳やチーズなどの乳製品はとても美味しいです。また、車で30〜40分足らずでカンタブリア海という立地のため、漁業も盛んで海の幸も豊富です。
そんなオビエドの名物料理と言えば、代表的なのが「ファバダ」。白いんげん豆、チョリソ、ベーコン、豚の血入りソーセージが入った煮込み料理です。お酒は「シドラ=りんごのお酒」が有名です。9月の終わりにはシドラ祭りがこの地方であるそうですが、今回は残念ながら時期が合わずに参加できませんでした。
オビエドのランチメニューは大体どこでも第1の皿がこの「ファバダ」、第2の皿は本日の魚or肉、それにシドラ、パン、デザート付でどの店も10ユーロ前後。日本円で1200円位です。このボリュームでこの料金はかなりお値打ちです。まずシドラが1本ドーンとテーブルに置かれます。飲み放題です。
ファバダはお皿ではなく鍋でガツンと出されます。ひとりの私でも鍋で出て来ます。ぎょっとしているとウェイターさんがシドラをついでくれるのですが、これが神ワザ!ボトルとグラスを上下に大きく離し、グラスの淵に当てるようにして、こぼれそうなギリギリラインで注ぐのです。それもニコリともせず無表情で淡々と。あっけにとられていたら、「シドラは僕が注ぐから自分でやらないように」と、これまた恐〜い顔で一言。オビエドの人って気難しいのね..。シドラはグラスが空くとすぐに次を注いでくれます。一度に1cm位しか注がないのであっという間に次を注がれます。シドラ版わんこそば状態ですね。
なんとかシドラを注ぐ姿をカメラに収めようと試みるのですが、動作が素早すぎてシャッターチャンスを何度も逃してしまった私。3度目の正直でカメラを構えた瞬間、「今だよ!」と一瞬注ぐ手を止めてくれたウェイターのおじちゃん。なーんだ、本当はやさしのね、おじちゃん。カメラ目線じゃないのは、ひょとして恥ずかしがり屋さんなのかも。
第2の皿は本日の魚の盛り合わせ。タラ、カジキマグロ、真鯛のグリルにじゃが芋が添えてありました。これまたガッツリ鬼盛り。ひとつひとつが大きすぎ。日本の定食屋だったら間違いなく3人前です。これに加えて15分おきくらいにピンチョス(カナッペのようなもの)が大きなお盆でサービスされるのです。もー食べられない!!どこにも入らない!!デザートはフル−ツ入りヨーグルトをなんとか流し込み、コーヒーでフィニッシュ。うう、前かがみになれない….。
ウェイターのおじちゃん「どう?満足した?」
私「も、もちろん美味しかった。でも満腹すぎて動けない…..。」
おじちゃん「夜まで開いてるからゆっくりしてっていいよ。」
私「ハハハ…。(冷や汗タララ)」
おじちゃん「(ニヤニヤ)」
お会計を済ませた後、なんとか宿まで帰りつき、しっかりお昼寝したのでした。
オビエド(その2)では世界遺産やオビエドならではの珍しいものをご紹介しますので、こちらもお楽しみに!<KY>