コルビュジェ建築「サヴォア邸」

建築家のル・コルビュジェ(1887-1965)の代表作のひとつである「サヴォア邸」に行ってきました。

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フランスはパリ北西部、ポワシー(Poissy)市にそれはひっそりと佇んでいます。

パリ市内からは日帰りで行ける距離で、電車とバスを乗り継いで片道1時間半くらいでしょうか。たまたま妹の住んでいる町から車で20分と近く、今回は妹に連れて行ってもらいました。

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建物全体が直線で構成され、朝一番だったせいか静寂に包まれています。

1928~1931年にかけて建てられたこの邸宅は、サヴォア家(かつてイタリア、スイス、フランスにまたがって一帯を支配していた貴族)の週末用の別荘として利用されていました。

建物は2階建で、屋上は庭園となっています。1階から屋上まで吹き抜けの構造になっているので、すべての部屋に光が差し込むようになっています。

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生活空間は2階部分です。こちらはリビング。テラスに面していて、開放感があります。天井付近のスチールの長い管は吊り下げ式の照明だそうです。

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こちらは食堂。窓の下はすべて作り付けの収納です。写真には写っていない反対側にはキッチンがあり、こちらも作り付けの収納棚と配膳用の窓口が備えてあります。照明はリビングと同じ吊り下げ式です。

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こちらはバスルーム。モザイクタイルが素敵。曲線でできた部分はベンチだそうです。湯当たり防止のお休み処といったところでしょうか。奥の南側の窓から光が差し込むように配置されています。

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1階と2階を繋ぐジグザクのスロープ。明かりとりのための窓が広くとられているので明るい空間になっています。

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このジグザグのスロープは屋上庭園まで続いています。

下に見えているのがリビングとテラスです。

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スロープとは別に螺旋階段もあります。こちらも屋上までの吹き抜けでとても明るい印象。

ぐるっと回ってみた感想は、「とにかく窓が多く、家じゅうどこにいても明るい」でした。どの部屋も、壁の端から端まで窓が広がっています。

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テラスの壁にも窓が設けられ、庭の緑が切り取られた絵画のようです。

コルビュジェは、今でこそ当たり前になった鉄筋コンクリートで建物を構築する工法を見つけました。それによって家は支え壁や区切り壁から解放され、柱は床を支えるためだけに用いられ、部屋の間仕切りは完全に自由になったそうです。

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ピロティと呼ばれる杭(くい)で家全体を支える工法。杭を地中に埋め込まず、あえて地上に出すことによって1階部分に空間が生まれ、「空中に浮かぶボックス」建築を実現しました。

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そのピロティを利用した玄関。反対側のピロティは車寄せとしての空間になっています。

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すべて綿密に計算された建物で、とても機能的で近代的。まさに現代建築の礎となった建築技法だったのだな、とあらためて感じました。

広くてまっすぐな空間が多く、朝イチで私たち以外誰もいなかったせいか、3歳の姪っ子は開放的になってしまったらしく、ジグザグのスロープを猛ダッシュ。区切りのない部屋をぐるぐる回り鬼ごっこ。しまいには受付のおばちゃんに怒られる始末。。。すみませんでした。でも私が子供でも走り回りたくなるくらい開放的で気持ちのよい建物だったのですよ~(笑)<KY>

スペインタイルアート工房HP

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