前回に続き、大きなタイル画をデザインからおこして描く方法の応用編です。
前回は元になるデザインはタイル画の写真を使用しましたが、今回はもう少し難しい実写の風景画をタイルにおこしてみようと思います。
題材は小冊子(情報誌アフルエントより )の表紙になっていたリスボン(ポルトガル)の街並みです。
これを縦横45×30cm(15cmタイル6枚分)に描いてみます。
まずは
1.
オリジナルの風景写真をどの範囲で使用するかを決めます。
タイルの組み方も考えて、45×30サイズに収まりが良い部分を切り取ります。今回は写真を最大限に利用することにしました。雑誌の写真や絵葉書、ポスターなどは構図が素晴らしいものが多いので、題材として非常に使いやすいです。
ただし、必ずしも題材の写真が組み合わせたタイルサイズの比率にピッタリおさまる訳ではないので、多少のアレンジは必要です。
例えば、今回の写真はタイルサイズよりもやや縦長だったので、上下の空と地面を切り落とすのもひとつの方法でした。でも今回は上下どちらも活かしたかったので、パソコンに取り込んで横幅だけを少し引き伸ばしました。
自分でアレンジできなくても、キンコーズや大型印刷サービスのある店に行けば縦横変倍率で希望のサイズに拡大アレンジしてもらえます。
2.
構図が決まったらオリジナル写真を拡大します。
ちなみにコンビニでコピーできる最大サイズはA3です。A3だと45×30には縦横共にややサイズが足りませんが、今回のデザインは端っこが少し切れるくらいなのでそのままA3サイズ1枚でコピーしました。
ちなみにこのコピーはモノクロでOKです。
3.
トレペに転写します。
この時、細かい装飾は写しとらず、絵付けする時に必要な建物の壁や窓、道路、電車などの大まかな構図部分だけを写しとります。
4.
画用紙にカーボン転写します。
これが終わったらトレペのデザインシートには穴あけをしておきましょう。
ついでにこのタイミングでタイルに釉掛けしておきます。
5.
色番号を決めます。
今回は画用紙とは別にA4サイズでカラーコピーしたものに直接書き込みます。
水彩画は何度か色を塗り重ねて濃淡をつけていくので、何段階まで色を重ねるのかこの時点で決め、しっかり書き込んでおきます。
6.
画用紙に絵の具で描いていきます。
この時のポイントとして2点意識して絵付けしていきます。
まず1点目は「遠近法」です。
赤のラインを見てください。
手前から奥に行くに従って建物や人物などが小さくなるように、放射状に線を引いてみます。路面電車や地面の線を延長してみます。
すべての線が交わる点から水平に横線を引きます。これらはデッサンをする時の基本となる目安線で、本来はこれらの線を引いてから建物や路面電車を描いていきますが、今回は自分でデッサンしたわけではないのでこれらの線を意識して斜めの線や横線を描いていくと、奥行きのある立体感のある絵になります。
2点目は「明るさ」です。
前途の色番号シート内の赤丸で記した所は光が強く当たっている所です。色が付いているように見える部分もありますが、あえてここは何も塗らないことにします。白=ハイライト(一番明るいところ)です。
さらに前途の目安線で全ての線が交わっている点辺りは、一番奥の奥に位置しているので、この辺りはぼんやり何となく色が入っているくらいで良いです。対象物の境界線もぼやけていてOK。その代わり、近くはしっかり描写します。
「近くはハッキリ、遠くはぼかす」と覚えておきます。
8.
上記2点を意識して絵付けを始めます。まずは面積の広い路面と空からスタート。
この時点で空を塗るかどうか決めかねてる場合は塗らなくてOKです。
一段階目を全て塗り終えたところ。
建物のベランダはすべての色を塗ってから最後に描くので、この時点では描きません。その内側にちらっと見える外壁は塗っておきましょう。
9.
2段階目を終えたところ。
1段階目は面で塗りつぶすのに対して2段階目、3段階目は主に線で描いていくのがスペインタイルです。が、そこは臨機応変に。
画用紙絵付けは本番タイルで失敗しないための練習台です。色々な描き方を試してみてください。
10.
3段階目が終わりました。あとはベランダと縁取りのみです。
11.
ベランダを描き込み、そこからはみ出ているプランターの葉っぱを最後に描き加えます。建物の縁取りは省略。路面の表情は確認しておきたいので、いくつかの表現方法を試しておきます。縁取りも筆使いの良い練習になるので、必要であれば部分的でも良いので描いておきます。
ちなみに縁取りも「近くはハッキリ、遠くはぼんやり」を忘れずに。
これで画用紙絵付けの完成です。
これを見ながら本番タイルに絵付けしていきます。
長くなってしまったのでタイル絵付けについてはまた次回のブログでご紹介しますね。<KY>