フィルムスキャン

今回は現像済みのフィルムをデジタルデータにした話です。
デジタル写真しか知らない世代の方には
意味不明な記事だと思います、申し訳ないです。

私が最後にフィルム撮影をしたのは2001年くらいだと思います。
フィルムのデジタルデータ化はそれ以前から考えていたのですが
なかなか使い勝手の良いスキャナに出会えず長いこと放置していました。

フィルムスキャナを初めて購入したのは1990年代後半のこと。
それは1コマ読むのに5-6分かかり「フィルム全部のデジタル化」は
現実的ではなく、その時必要なものを少しデジタル化して終わりました。

その後、妥協して簡易的なスキャナを2回ほど買いましたが
求める画質に程遠くほぼ未使用のまま廃棄。

しかし昨年、ついに画質・価格・スピードが
私の条件に合いそうなフィルムスキャナに出会えました。
数本ずつ読み込んで作業はまだ終わっていませんが
カラーフィルムのスキャンはほぼ終了しました。

購入したスキャナはOpticFilm 8300i SEです。
今回の記事は機器の使い方や評価ではなく、読み込んだ写真についての話です。
もしも購入を検討される方はご自分でよく調べてくださいね。

さて私はフィルムを片付けたり捨てるためではなく
写真を活用するためにデジタル化しました。
自分で撮影したものなら著作権を考えなくて良いし、
作品の参考になるものもきっとあるはず。

ただデジタル化は遅すぎたようです…

バルセロナ、グエル公園
上はフィルムスキャン、下は紙焼きプリントをスキャンしたもの

ショックだったのが、カラーネガフィルムの変色。
退色や色褪せは想定内でしたが、変色は考えてなかった。
白っぽい雲や壁、空の青などが部分的に黄色く変色していました。
全体の黄ばみならソフトで補正もしやすいのですが
大抵はこの画像のように部分的な変色。補正は難しいです…

フィルムのせいか保管方法のせいか、その両方か。
特に1999年にスペインで撮ったカラーネガフィルムは、ことごとく変色。
フィルムは日本からの持参品と現地購入品が混在していますが、全てが変色。
帰国後まとめて現像に出したので、お店の現像液などの問題なのかも…

バルセロナ、カサバトリョ
上はフィルムスキャン、下は紙焼きプリントをスキャンしたもの

こちらも全体的な黄ばみにプラスして、空の中央がより変色しています。
紙焼き写真は何年も前にスキャンして、紙焼きは廃棄済み。
今回フィルムをスキャンしたことで、紙焼きのスキャンデータは
捨てられるかなと思っていたのですが
こうも色が違うと捨てられないですね。

エジプト、ルクソール?
左はフィルムスキャン、右は紙焼きスキャン

こちらは1990年の写真。黄みは強くなっていますが、
スペインの写真より10年近く前なのに、空の青も部分変色していません。
むしろ紙焼きのほうが空が黄色いです。

東京、井の頭公園
上はフィルムスキャン、下は紙焼きスキャン

これもエジプトと同じ1990年の写真。
このカラーネガもほとんど変色がないうえ、紙焼きと比べて精細ですよね。
ここまで紙焼きと違うと、フィルムスキャンした甲斐があります。

東京、井の頭公園
上はフィルムスキャン、下は紙焼きスキャン

こちらは色について。1991年頃です。
下の紙焼きを見て、木の影を撮りたかったのかと思いましたが
フィルムをスキャンして、ピンクと緑のコントラストを撮りたかったのだと分かりました。
綺麗な色になって嬉しいです。

スペイン、マニセスのタイル画
上はフィルムスキャン、下は紙焼きスキャン

フィルムをスキャンして良いことの一つが、画角が広がること。
下の紙焼きプリントはフィルムの端までは焼かれておらず、タイルの端が切れています。
コンパクトカメラでの撮影だけど、それでもファインダーを覗いた時は
上の写真のようにタイルの端まで入るように撮りたかったはず。

それに当たり前ですが、フィルムは高精細です。
フツーのお安いコンパクトカメラであっても。

スペイン、ロンダ
上はフィルムスキャン、下は紙焼きスキャン

こちらの写真もだいぶ黄変していますが、これもプリント範囲の話。
右上端、フィルムだと崖上の建物の上に空が見えますが
紙焼きだと建物の途中で切れています。
フィルムを見ると、自分が何を撮りたかったのか分かります。

トルコ、イスタンブール
上はフィルムスキャン、下は紙焼きスキャン

これもコンパクトカメラなのに、フィルムの精密さがすごいですよね。
紙焼きは細かい模様がわかりません。

スペイン、メリダ
上はフィルムスキャン、下は紙焼きスキャン

これも精細さの違いが分かりますよね。
紙焼きの方もそれなりに良い感じですが、比べてみると一目瞭然。

ギリシャ
ポジフィルムスキャン

こちらはポジフィルムをスキャンしたもの。
いろんな壺が可愛いですよね! 可愛い写真がデータ化されて嬉しいです。
このポジはマゼンタが強めですが、全体的にマゼンタなら補正は簡単です。

ポジで撮ったものはプリントしていなかったので
今回フィルムスキャナを買うにあたり、ポジのデータ化は大きな目的でした。

エルサレム、岩のドーム
ポジフィルムスキャン

こちらもポジフィルム。
岩のドームは青いタイルを基調とした外観は有名なので、敢えてこちらの写真をご紹介。
青海波に貼られたモザイクタイルが新鮮に感じます。
こういう写真をデータ化したかったー。

最後に記憶と写真の色について。
現代のデジタル写真でも同じですが、
モニターに表示されている色も、印刷した色も、
実際に自分の目で見た色とは多少なりとも違いますよね。

フィルムも黄変や退色に関わらず、本当の色がわかりません。
今回スキャンした中で最も謎だったのがこの岩手山の夕景写真でした。

岩手山
ポジフィルムスキャン

まずポジフィルムの写真。
ものすごい夕焼けですが、本当はこんなに赤くないでしょ?と思いました。
このフィルムロールは全体にマゼンタ強めだったけど、
それを差し引いても赤すぎるような。

岩手山
紙焼きスキャン

同じ時に撮ったであろう、カラーネガフィルムの紙焼きがありました。
あれ?やっぱりこんな色だったのかな?
すごい夕焼けだったのかな?

岩手山
カラーネガフィルムスキャン

だけど元のカラーネガフィルムをスキャンしたらこちらになりました…

うーん… 私が見たのはどれだったんだろう?
ちなみに撮影は1998年。もう記憶がありません。
個人的には最後のが一番好き。

先日、教室の作品展が開催されましたが
展示作品は教室サイトの「スペインタイルギャラリー」で12月に掲載予定です。
撮影した写真はどうもコントラストが強く出るようで
会場で目にした作品の色となんだか違うなあと思いながら編集中ですが
多少の違いは大目に見ていただければと思います。
ほんと色って難しいですね!<RK>

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