イタリアの中部、ウンブリア州屈指のマヨルカ焼きの街、デルータ(deruta)へ行って来ました。ローマとフィレンツェのちょうど真ん中くらいに位置していて、ウンブリア州州都のペルージャからバスで35分ほどの丘陵地にあります。その歴史は中世にまで遡り、もっとも古い資料には1290年に生産されたとの記録が残っているそうです。
デルータは丘の上の城壁に囲まれた街が旧市街、城壁の外の平地部が新市街です。旧市街には昔ながらのこじんまりとした陶器店や州立陶器博物館、州立芸術学校があり、レストランの看板や個人宅の表札、通りの標識もタイルだらけ。街じゅうにマヨルカタイルや陶器が溢れています。
一方新市街には、比較的大きな陶器工房兼店舗が軒を連ねています。大きな街道沿いの道にはデルータ焼きのタイルが等間隔に埋め込まれていて、バスを降りた瞬間から足元に釘付けに。。。写真を撮るのに夢中になって最初から全然前に進めませんでした…。
旧市街に入るには3つの門があり、城壁に入る手前には巨大な陶板画がありました。
新市街からはかなりの急坂を登ること約10分。私が入ったのはペルージャ門です。ちょうど陶器博物館の裏手に出ました。歩いてみると観光案内所でもらった地図よりも意外と狭い街。あっという間に街をぐるっと一周できてしまいます。ただ、軒先の絵皿やタイルがとっても美しく、ゆっくり時間をかけて見るべき場所が随所にありました。
そして圧巻だったのが陶器博物館。こんな小さな街(と言っては失礼ですが)にあるとは思えない規模のデルータ焼きが展示されていて、そのどれもが保存状態が良く素晴らしいのです。元修道院だったところが現在は陶器博物館になっていて、建物自体も趣があって素敵でした。
ウンブリア州で作られたマヨルカ焼きの歴史をたどりながら美しい陶器を存分に堪能しました。ただ、こんなに素晴らしい博物館なのに館内の客は終始私ひとり。もっと宣伝したらいいのに…。
博物館でお腹いっぱいになった後は陶器屋さん巡りです。街じゅう至る所に店があるので、店頭のディスプレイを見て好みの店舗を物色するのが良いですね。
デルータ焼きは青と黄色、オレンジがとっても鮮やかで美しい。石造りの街並みとマッチして鮮やかさが一層引き立ちます。
デザインは「グロテスク柄」が描かれた陶器がとても印象的でした。
グロテスクとはラファエロが考案したとされるドラゴンを模した柄の事。
柄が細かいものが多く、丁寧な手仕事によって作られているのが一目で分かりました。私が立ち寄ったいくつかの店は、よくありがちな土産仕様のプリント柄などは一切なく、すべてハンドメイドの商品ばかりでした。
購入したのは小ぶりの丸型小箱。孔雀の羽根を模しているとのことでした。まん丸のぷっくり感と色合いに一目惚れ!
帰りのバスを待つ間に新市街の大型店舗も物色し、デルータのマヨルカ焼を存分に堪能しました。
ローマから電車の時間を選べば日帰りも可能だと思いますが、興味のある方はペルージャあたりで1泊してゆっくりと散策することをお勧めします。<KY>