前回のムスティエからアプトに移動しました。車で西へ約2時間。南仏プロヴァンスの北方に位置するリュベロン地方にあります。
アプトは南フランスの商業の中心地として栄えており、週末になるとマルシェが開かれ南仏じゅうの農産物から工芸品までバラエティに富んだ商品が所狭しと並ぶそうです。私達が訪れたのは平日だったので、残念ながらマルシェには出会えませんでした。
商業の中心地と言うだけあって、平日でも様々な商店が軒を連ねています。こちらはアプト銘菓のフルーツコンフィの店。コンフィとは果物の砂糖シロップ漬けのこと。試食させてもらいましたが、私には(日本人には?)甘すぎました。フランス人にとってはこれが普通なのかしら…。
こちらはセンスの良い骨董品とセレクトショップ。このカゴに入ってるタイルはアプト焼きです。厚めの陶土にぽってり釉薬を掛けただけのシンプルタイルが特徴です。
それともうひとつ、この地方は昔からオークル(黄土色)の顔料の産地で有名だそうです。ここの土は酸化鉄を多く含んでいるので、オークルと言ってももう少しオレンジに近い黄色みがかった色みの陶器もアプト焼きの特徴なのです。
店内にも年代モノのアプト焼きのお皿やスープボウルなどがありましたが、アンティークのため、かなり高価なお値段。店内なので写真も撮れず。
代わりにランチに入ったビストロで出てきたお皿でご勘弁ください(笑)
グラタン皿の下に敷かれたお皿。黄土釉の典型的なアプト焼きです。素朴でどんな料理にも合いそうですね。
さて、午後は車で15分程の隣街、セニョンに移動。こちらは山の上にある小さな小さな街。ここでは予想外にもアプトの街よりアプト焼きに出会うことができました。
街並みは蔦の絡まる石造りの建物で統一されており、おとぎの国に迷い込んだような素敵な街。通りの標識や店の看板はかなりの確率でアプト焼きでした。看板はみなクエルダセカ技法でビックリ。昨日のムスティエ焼きはマヨルカ(水彩)技法だったので、地方によって全く異なる特徴があるのだな、とあらためて実感しました。
そしてランチに入ったビストロの食器もアプト焼きでしたよ~。
先程紹介した黄土釉の皿はこのビストロのものでした。
やはり実際に使っている食器はとっても魅力的。陶器を販売してる店も見当たらないので、この店で譲ってくれないかなーなんて、図々しく思ったりして。
料理もとっても美味しく、幸せなひと時を過ごしました。
中でも生ハムメロンはお気に入りの逸品になりました。今までは(わざわざ一緒に食べる意味ある?)と思ってました。でも、南仏の乾いた風土と強い日差しのせいか、ジューシーなメロンとほんのり塩味が効いた生ハムが良く合うんです。この地方ならではの食べ方なんだなーと実感しました。
今日はこの後約2時間かけてアヴィニヨンまで移動します。電車やバスの時間を気にする必要のない車移動は本当にありがたいです。
ほぼ私の趣味で行動を共にしてくれている、いとこ夫婦に感謝しきりの旅なのでした。<KY>