三菱一号館美術館で開催中の「画家が見たこども展」に行ってきました。
https://mimt.jp/kodomo/highlight.html
丸の内のオフィスビルの一角に突如出現する緑あふれる中庭、ブリックスクエア。まさに都会のオアシスのこの一番奥に美術館があります。
今回は19世紀末のパリの前衛芸術家グループ「ナビ派」の画家達が描いた「こども」をテーマにした展覧会でした。
なぜこの展覧会に興味を持ったかというと、少し前にラジオの美術展を紹介しているコーナーで、「フランスのル・カネにあるボナール美術館の全面協力のもと実現した企画展です」と言っていたからです。
実は今年の5月にフランスに行く予定なのですが、このボナール美術館にも行く計画になっていたからです。ル・カネは南フランス、コートダジュールのカンヌ近郊にある小さな村で、この「ナビ派」を代表するピエール・ボナールが晩年に暮らしていた村なのです。ここに2011年にボナール美術館が誕生しました。昨年南仏を訪れた時は行けなかったので、今年はぜひ行こうと思っていた矢先の展覧会。
今回の展覧会の会期は6月7日までとのこと、ボナール美術館所蔵の作品が東京に来ているなら、5月に現地に行った時には「貸し出し中、東京へ」となるはずです。
そんな残念なことってないですよね。以前、台北の故宮博物館へ行った時、翡翠の白菜のオブジェをを観ることを一番の目的に行ったのに、それがなんと他国に貸し出されてガラスケースが空っぽだったという悪夢がよみがえりました。
あの時の二の舞にはならんぞ、それならボナール作品をここ東京でしっかり観て、目に焼きつけておかなくちゃ、と焦って観に行ったという訳です。
前置きが長くなりましたが、そもそも「ナビ派」ってどんな画家グループなんでしょうか。このグループはポール・ゴーギャンを師と仰ぎ、印象派とは違って見たものを単純にそのまま素朴に描くという表現に強く影響を受けました。主なメンバーは前出のピエール・ボナール、モーリス・ドニ、エドワール・ヴィユイヤールなどです。
展示作品の撮影は禁止だったのでそれぞれの作品は紹介できませんが、ミュージアムショップでたくさんの作品がプリントされているクリアファイルを買ったのでそちらでご勘弁ください。私が一番気に入ったのはボナールのこの作品、「子どもたちの昼食」です。
日常の何気ないひとコマをとても自然に描いています。猫ちゃんが家族の一員であることもよくわかりますよね。
それとボナール美術館所蔵の作品で大作がひとつありましたが、これはクリアファイルもポストカードもなかったので紹介できませんが、日本の屏風形式に縦長の4枚のパネルを横並びに組み合わせて描かれた「乳母たちの散歩、辻馬車の列」という作品。ボナールは日本の浮世絵に大変影響を受けていて、この作品も遠くから見たらまるで日本の屏風絵のようでした。現地で観られない分、しっかり目に焼きつけて来ましたよ~。
ボナールの作品として私がよく知っていたのはこのシャンパンのポスター画です。
(大昔にどこかの展覧会で購入した私物のポストカードです、昔すぎてどこの美術館で買ったのかわからず。。。)
これは公募でグランプリを取ったポスター画で、画家としてのスタートは版画からでした。ここから「子どもたちの昼食」、「乳母たちの散歩~」まで、実に幅広いジャンルに挑戦した画家ですね。
晩年を過ごしたル・カネでもたくさんの作品を描いたそうで、ボナール美術館には主にここで制作した作品を中心に展示しているそうです。晩年にはどんな作品を生み出したのでしょうか。今から観るのが楽しみです。5月以降またレポートしますね。
今回は「作品の所蔵がどこなのか(ボナール美術館じゃないよね?)、という変な視点からの鑑賞でしたが(笑)、今まで知らなかった画家や、あまり注目して見たことのなかった画家達の意外な作品をたくさん知ることができてとても有意義な1日となりました。<KY>