オランダのデルフト焼で有名なロイヤルデルフト社のミュージアムと工房見学に行ってきました。
1653年創業の老舗メーカーで、最盛期には32あった工房の中で唯一、現在まで残っている陶器工房です。
(デルフトの街についてはまた別の機会に書きたいと思います!)
入館するとまず受付でオーディオガイドを受け取ります。(日本語ガイドあり)
館内は2階まで吹き抜けになっていて開放的。階段の手すりや壁が陶器、陶板でできてることに気づき、つい撫でてみたりする、笑。そうこうしている間に最初の部屋に案内され、まずは映像を見ながら歴史を学びます。
シンプルだけど味のあるレリーフタイル。
なぜデルフト焼きの工房が衰退してしまったかというと、ウエッジウッドとの競争に敗れたからだそうです。当時、東インド会社によって輸入された中国の磁器が非常に人気を博し、それを真似てヨーロッパ中が模倣品を作っていたのですが、薄くて丈夫で艶やかに焼き上がる良質な磁器用の粘土がヨーロッパでは採掘できなかったのです。各国各メーカーが試行錯誤して似たようなものを研究開発するなか、ウェッジウッドがクリームウェア(硬質陶器)を作り出し、さらに産業革命の波に乗って転写技術まで開発、安価で大量生産できる「磁器のような陶器」を作り上げたのです。(その後マイセンで磁器用粘土が発見されます)
デルフト焼はその波に乗り遅れ、次々に衰退していったそうです。
歴史を学んだ後はロイヤルデルフト社のコレクション展示を見てまわります。
オランダに来てよく目にするのがこの巨大な花瓶。
チューリップを一輪ずつ差すように作られているもの。おもてなしの席などで飾られていたようです。日本にはない発想で豪華絢爛ですよね!
続いては工房見学です。建物の中庭を挟んで反対側が工房です。
この中庭もとても美しかったです。特に庭に沿って回廊が設けられているのですが
その回廊の柱やアーチがすべて陶器でできています!
柱は1本1本デザインも違っています。これまた撫で撫でしたくなる、笑。
メタリックな輝きを放っているタイル(陶板)が多く、かといってギラギラした感じもなく落ち着いていて、こんな中庭と回廊がある家に住みたい(←絶対ムリ)っていうくらい素敵でした。
↑びっくり仰天している髭もじゃのオジサンの表情が好き!
さて、いよいよ工房見学です。実はこちらのミュージアム、現在改装中で、ミュージアム、工房共にだいぶ縮小されています。10数年前に訪問した時はレンブラントの「夜警」とフェルメールの「デルフトの小路」の実物大の陶板があったのですが、今回は見られませんでした。その代わり、モザイクタイルの看板と牛のオブジェが無造作に?放置されてました。さすがにここに大作を放置する訳にはいかないか。。。
成形はすべて鋳込みか型押しです。所狭しと鋳込み用の石膏型が並んでいました!!
超巨大な鋳込み型の数々。型作りにどれほどの石膏を使うんだろうか。。。
デルフト焼ができるまでの工程はスペインの水彩技法(マヨルカ焼)とほぼ同じです。
唯一違うのは、素焼きしたビスクに薄く化粧掛けしてから顔料で絵付け→透明釉をスプレー噴射コーティング→焼成、というところですね。化粧=エンゴーべなのでそれだけでは釉薬のようにツヤが出ません。かと言って素焼きに直接絵付けだと色のノリが悪い、絵付けしにくい、ということでうっすらエンゴーべを掛けるようです。
訪れた日は土曜日だったので工房は稼働していませんでしたが、観光客用に?型から外した粘土のバリ取り&なめしをひたすら繰り返している方がいらっしゃいました。
そして絵付師の方のデモンストレーション。
ちょうどフチの長い線を描いているところ。筆がブレないようにヒジを台にのせて固定させ、ロクロ(見えなかったけどおそらく蹴ロクロ)をまわしながらス~と引いていましたよ。観光客がワイワイ、写真バシバシ撮ってる中、さすがプロのお仕事!心を無にして冷静に。武道やったら強そう。。。
最後はミュージアムショップで高価なテーブルウエアを見てうっとりして(←目の保養のみ)工房を後にしました。
工房にはレストランカフェが併設されていて、そちらで提供される器はすべてデルフト焼とのこと。ハイティ(イギリスのアフタヌーンティー)を予約しようと思ったら既に予約はいっぱい。
そんなに広いスペースではない(&前日に予約しようとした)からか、今回は叶いませんでした。
ミュージアムカードの年間パスをもっていると入館料が無料になるので(オランダ国内の登録されている博物館、主要なところはほぼカバーしてる)次回は改修が終わった頃に事前予約してから再訪したいと思います!ちなみに改装は第一段階が夏の終わりに完成、という程度で最終的にいつ終了するかの明記はなし。。。マメにサイトチェックするしかないかな、笑<KY>
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