クエルダセカのペン立て

秋口にスパチュラのセットを購入しました。スパチュラといっても料理用のゴムヘラでもなく、化粧クリームなどを取るものでもなく、模型用のヘラです。パテを盛ったり削ったりするの…かな? 粘土ベラが細くなったようなもので、私はミニチュア陶器作りに使います。

0911301買ったスパチュラはビニールケースや袋に入れて置くのも良いのですが、私は面倒臭がりなのでペン立てに立ててすぐ使えるようにしました。ただ、何本か先端が尖っているものがあります。金属や陶器のペン立てに立てると先端の形状が傷つくので、手近にあったニスのプラスチックのフタに立ててみたら… 重さに耐えきれず自立しません… 写真のスパチュラの向こうにあるのがそのフタです。

そこで、このプラスチックのフタがすっぽり収まるペン立てを作ることにしました。フタの直径プラス5mmで底の型紙を作り、縦の長さはキリがいいので10cm。図柄はアルハンプラ宮殿のモザイクタイルにする予定。自分が家で使うだけのものなので、タタラ(板状)にした粘土を筒に組み立てる時も芯にする補助材を使わなかったり、非常に適当に作り始めてしまいました。おかげで後で苦しむことになるのですが…

組み上がって数日乾燥させたら、やっぱり下と上で円周の長さが違っていました… ま、いっか、フタが入れば。見た目に凸凹しているところを削って素焼きです。しかしモザイク柄を絵付けするのに上と下で長さが違うのは致命傷でした… 当たり前ですね。

0911302今回元にしたデザインはこちらです。アルハンブラ宮殿の壁。この写真をPCで目的のサイズに拡大・縮小していくのですが、ペン立ても斜めに黒、緑、茶、水色が入るようにしたいので、ペン立ての胴に一巻きさせた時、端の色が繋がるように調整していきます。上部の階段模様は下の連続模様から独立させて、端同士がぴったり合うようにします。階段模様を切り離したことで、上下の円周の違いが少し緩和されました。

次はデザインを転写して鉛筆で下描きしていきます。微妙にサイズが合わない部分は下書きで調整しつつ… 六角形と星と手裏剣みたいな模様をひたすらフリーハンドで描きます。左の写真が下書きが終わったところです。その後絵付けに入ります。鉛筆で囲まれた中に釉薬をスポイトで入れていく「クエルダセカ技法」です。釉薬が乗ったところは触る事ができないので、右の写真のように手を中に突っ込んで絵付け。途中で手も疲れてくるので、もう少し模様を大きくしておけば速く仕上がったのに…と思いましたが後の祭りです。ひたすら絵付けします。

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絵付けが終わったら窯で焼きます。思った色に仕上がりました。絵付け中は色の辻褄が合うか心配でしたが、デザインの間違いは無く無事完成しました。細かい柄も疲れたけど、柄が大きいと色が繋がっていく感じがわかりにくかった思います。少し薄いところもありますが、自宅で使う実用品なので、もうこれで完成としちゃいます。

さあ、一番大事なプラスチックのフタは入るでしょうか… 大丈夫みたい… 入らなければ、火でフタをあぶって少し柔らかくしてねじ込もうと思っていたのですが、きっちりぴったり入りました。ばんざい! スパチュラを入れても倒れません。やっと落ち着く場所が出来ました。

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このスパチュラ、展覧会用のミニチュア作りにしっかり役だってくれました。でもこんなスパチュラ立てを作ったりしてるから、展覧会の制作がギリギリ進行になるんですよね・・・<RK>
スペインタイルアート工房HP

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