建築家ガウディの代表作のひとつ、「エル カプリチョ」に行ってきました。
場所は北部カンタブリア地方のComillas(コミーリャス)という町にあります。
サンティリャーナ・デル・マルという中世の古い町並みが見られる美しい街をご存知の方も多いかと思いますが、この街からバスで20分くらいのところです。
このコミーリャスには、ガウディの作品とモンタネール(カタルーニャ音楽堂などモデルニスモ建築でガウディと並ぶ偉大な建築家です)の作品がたくさんあります。まさにモデルニスモ建築の隠れ家的な街と言えるかもしれません。
この街については次回のブログで触れるとして、今回はエルカプリチョについて紹介したいと思います。
このカプリチョという名前、スペイン語で「奇抜な、奇想な」という意味です。
見た目からすぐに独創的なガウディの作品とわかる佇まいですよね。
この建物はガウディが若干30歳の時の作品です。バルセロナのカサミラやグエル公園よりもずっとずっと前のガウディ初期の作品なのです。
建物見学は時間制のツアーガイドがあり、それに申し込み入館しました。ただ、建物のファサードを見て、私はすぐにツアーから離れてしまいました。。。
じっくり好きなように見たいな、と思ったからです。(離れても特に何も言われませんでした)
まず目に飛び込んできたのは、大量のひまわりのレリーフタイル。建物の外壁はヒマワリとその葉、そして緑のタイルで埋め尽くされています。ひまわりや葉っぱが立体的に飛び出たタイプのレリーフタイルです。サイズは1枚15cm角。ガウディは設計時にこのタイルを物差し代わりにしたとも言われています。
そしてベランダの鉄で作られた装飾細工。音符のようなモチーフが見られます。
この建物の依頼主が音楽に精通され、植物を愛でる方だったようで、ガウディはそれらをこの建物に存分に取り入れて表現したようです。
建物の中は細かく部屋が分かれていますが、部屋と部屋は扉で繋がっています。各部屋は太陽の動きと連動し、1日の生活が太陽の昇る東から太陽が沈む西へと自然と共に流れていくようになっていて、各部屋を伝って建物をぐるっと一周できるような設計になっています。
例えば東には朝日と共に目覚める寝室を置き、南には太陽をたくさん取り込めるように天井がガラス張りになった温室。西には夕食をとる食堂を配置するなどです。
こちらは玄関ホールのステンドグラス。何の葉っぱでしょう?やはり植物がモチーフですが、周りは幾何学的。ガウディは建物の随所に幾何学やアラブ風の装飾、建築様式を取り入れています。
こちらは食堂にあった暖炉。周りはすべてタイル。色合いが素敵!
こちらはメインサロンの窓。壁いっぱいに窓が配置され、こちらもアラブ風に窓枠が設計されています。北向きの部屋なので光をたくさん取り込むための工夫なのでしょうね。
こちらはシャワールーム。壁も床もタイル。特に壁のタイルが素敵でした。水の波紋とか水滴とかをイメージさせますよね。
シャワー室隣にあったステンドグラス。庭の緑とステンドグラスに描かれた鳥や植物が自然の中で一体化してるように見えました。鳥はピアノの鍵盤の上に乗っていてとってもカワイイ。
窓のノブ。こちらもどこかアラブ風。
寝室の天井。多くの部屋の天井は木張りで、各部屋異なる木工細工が施されています。こちらはムデハル様式のよう。
書斎に掛けられていた写真。たくさんの写真が飾られていましたが、その額がどれも個性的で興味深々。粘土でこんな額縁が作れたらいいな、とじっくり見入ってしまいました。
スペインタイルでもよく使われる渦巻きと流線型のデザイン。昔から伝統的に使われていたデザインですが、ガウデイも取り入れていたんですね。
屋上です。広いバルコニーになっていて、太陽をたくさん浴びることができます。ひまわりのレリーフもいっぱいで明るい気分になりますね。
ガウディの銅像です。建物の横のベンチに座っていて、エルカプリチョを見上げています。
訪れた時はちょうど紫陽花が綺麗な季節。前日まで雨が降っていたようで緑も青々と生い茂っていて、庭もとても美しかったです。
まさに自然と一体化した作品で、ガウディらしい遊び心も加わった素敵な建物でした。とっても見応えのある建物なので、ガウディファンの方は是非行ってみてくださいね。<KY>