今回は画用紙に描いた風景画を見ながらタイルへ絵付けします。
まずは1段階目。
画用紙絵付けと同じ順番で、地面と空から。その後は路面電車→建物の壁→屋根、の順で。
空は上から下に向かって薄くし、地面は下から上に向かって薄くなるように塗ります。
1段階目は薄く全体を面で塗りつぶすのがタイル絵付けの基本ですが、今回のように遠近感のある風景画を描く場合は少し塗り方を変えます。
遠近感を出すために「手前はハッキリ、奥はぼんやり」を1段階目から意識します。
路面電車の位置を基準にすると、それより前方にある部分は最初から濃いめに絵付け。それより後方は薄めに絵付けします。この後方部分の半分くらいはこの1段階目で終了です。
次に2段階目。
空は手をつけずに地面から。
手前(タイルの下の方)は濃いめ太めの線、奥(タイルの上の方)に行くに従って薄く細い線を描いていきます。
この線の描き方も遠近感を出すのに大切なポイントです。
地面の次は1段階目と同じ順番で。
3段階目に入ります。
路面電車の影やその脇の建物の壁や影を濃くしっかり描き込みます。
よく見ると、建物と路面電車との間に歩道が設けてあり、それが階段状になっていることがわかります。
この歩道の段々(傾斜)の上に建物が建っていることがわかるように描写するのが、この絵の中で一番難しいポイントでした。
そのために1段階目から柱を小刻みに塗り分けていましたが、どこに線を入れて良いのかよくわからなくなってしまったので、縁取り線を描いてから最後に濃く影を入れることにしました。
一方、絵の奥の方は2段階目で少し色を加えてこの状態で終了です。
その他、壁の汚れや軒下の影を描き加えて3段階目は終了です。
この後、ベランダのプランターと植物、鉄柵を描いてから縁取りします。
縁取り線も「手前はハッキリ、奥はぼんやり」です。奥は縁取りしてない部分もあります。
縁取りが終わったら、最後に路面電車の架線を描きます。
最初のデザイン転写の時、あえて架線には穴あけしませんでした。壁や空を塗る過程で消えてしまうからです。
最初の転写の終了後、架線だけ追加で穴あけしておきました。
この架線部分だけをタイルに転写して線を描き、終了。
もう一度全体のバランスを見て、濃淡の調整や、遠近感を出すための放射状の線の角度などを調整します。これで絵付けは終了です。
焼成後の仕上がりはこんな感じです。
大きなタイル画を描くのは時間もかかって大変ですが、焼きあがった時の達成感は嬉しいものです。水彩技法のいろいろなテクニックを駆使して描き上げるので技術も身につくし、自信にもつながると思いますよ。
これから大きなタイル画を制作する皆さん、参考になりましたか?<KY>