ローマンランプの研究 後編

前回作ったローマンランプは無事に火がついたので、仕上げに入ります。
内側は釉薬をかけて焼いた状態。外側は素焼きのままです。

前回書いたように「古代のローマンランプ」は素焼きのみで施釉しないようですが
やはり汚れが気になるので全体に施釉することにしました。
すでにローマンランプでは無くなってますが、それはそれ。

絵付はクエルダセカにしました。
デザインシートは作らず直接シャーペンで下描き。
口の穴の周りが、染みたオイルと煤で黒ずんでいるのが分かりますか?

色絵付けして一度焼きます。
火口に注目、焼成して煤の汚れが取れました。

さらに外側全面に施釉して、また焼きます。
これで出来上がり。

さて前回火をつける芯に綿ロープを使いましたが、太かったせいかオイルの減りがすごかったです。
細いほうが良いのかな? と、ロウソク用の芯を使ってみました。
火は小さめですが、細くても無事につきました。

ちなみに芯の太さの違いはこの通り。

ところが時間が経つと芯を伝って火が沈んで行き、最後はオイルと接触して消えてしまいました…

元々ロウソク用の芯だったこともあるのか、オイルを吸い上げる力が弱く
火が火口に留まれなかったのかも。
太い芯に戻しますが、こちらも火をつけたままランプを動かすと
芯が動いて中に沈んでしまうので、何か工夫が必要そう。

ひとまず最初に使った綿ロープの先をクリップでとめ、器内に沈まないようにしてみました。
すると紐が安定するからか、オイルの吸い上げも適量になり、極端に減ることがなくなりました。
手で持ち歩いて中のオイルが揺れても火が安定します。
(もちろんオイルがこぼれない程度には、そっと持ち運びます)

ちなみにオイルは熱くならないので、火の周辺を触らなければ火傷しません。

流石にクリップでは見た目がひどいので、写真のようなストッパーを作ってみました。
分厚い五円玉みたいなものです。
(紐はストッパー制作用に切り出したもので、実際のランプに使う芯はもっと長くします)

このストッパーも汚れ防止のため、施釉してから使います。
クリップと同様、火も安定してくれました。
アウトドアなどで使うオイルランタンには芯を少しずつ繰り出す機能があり、
そのアタッチメントで芯が固定されます。
このストッパーはそれと同じ役割で、芯を出す量で炎の大きさも調整できます。

これで実用の域には達しましたが…

昔の人はこういうパーツを使ってないですよね。
芯紐をどのように安定させていたのでしょう。

テレビで観た日本の時代劇の灯明では、油を溜めたお皿に灯芯を入れ
芯の上に石のようなものを置いてズレを防止していましたが
ローマンランプは調べても、芯を押さえる仕組みを見つけられませんでした。
火口を芯と同じくらいの太さにしたのかとも考えたのですが
断面図を見るとそうでも無いようです。

ちなみに火は吹き消すと部屋に煙が充満するので、ボウルを被せて空気を遮断して消しています。

いつからローマンランプが欲しいと思い始めたのかは覚えていませんが
昔撮った写真にニワトリのランプを見つけました。多分これが欲しかったんだろうな。
(スペイン西部、世界遺産のローマ遺跡があるメリダの博物館で撮影)

なんとか「ランプ」は出来ましたが、疑問点が二つ。
芯を安定させる方法と、素焼きのままでオイルが染み出さない理由です。
それぞれ「芯は特に安定させてない」「オイルは染み出しても気にしない」という答えかもしれませんが
理由が判明したら、いつかはニワトリランプを作りたいな。<RK>

タイトルとURLをコピーしました