カンペール(Quimper)はフランス北部、ブルターニュ地方にある街です。パリからTGV(新幹線)で4時間半、あと数十kmで大西洋、というフランスの西の果てに位置します。
ここカンペールは古くから焼き物の里として有名な街で、市内至る所に陶器のみやげ物屋が点在し、陶芸博物館や見学可能な焼き物工房もあります。TGVを降りて駅舎に入るとまず目に飛び込んで来たのが巨大なタイル画。ブルターニュのお祭りの様子。民族衣装で踊っていますね。
長旅でぐったりしていた私ですが、一気に観光モードにスイッチオン。何だか幸先の良いスタートです。
まずまっ先に訪れたのは、カンペール焼きでは一番の老舗工房(1690年創業)の「HB HENRIOT」です。
駅のタイル画を作ったのはこの工房でした。
工房内は撮影禁止で、作業工程を画像で紹介できないのが残念ですが、ガイド付きでひと通りの制作手順を説明、案内してもらえます。作業工程はスペインのタイルや陶器の絵付けと全く一緒でした。
一般に「下絵付け」という方法で、素焼きしたお皿や壷に施釉し、デザインを転写した後、絵付けします。これを約1000度で焼いて出来上がりです。
この工房は機械化が進んだ現在でも手描きで制作し続けている唯一の工房だそうです。
デザイン転写はほんの一部、位置決めの目安線だけで、あとはフリーハンドで描いていました。
ガイドしてくれたのは職人さんで、「買う時は必ず商品の裏のサインと番号を確認してくれ」と強調していました。
商品管理も徹底しているようで、ちゃんと品番まで手で描いていました。似たような商品が街中に溢れているからでしょうね。
でも私は裏を見なくてもHB HENRIOTさんのものだってわかりますよ!と言いたかったのですが、残念ながらフランス語が喋れず断念……。
カンペール焼きの魅力は、写真でもおわかりでしょう。
とっても素朴でかわいらしいデザインにあると思います。
ほとんどがブルターニュ地方の民族衣装を着た村人の男女がモチーフになっています。どこかスペインの
タラベラ焼きに似ているような気もします。
陶器のデザインに限らず、この民族衣装の男女の図柄はカンペールの街でたくさん目にすることができます。
時代はどんどん進化して行くけれども、こうやって自分達の伝統文化を守り続けていく、ブルターニュ人の民族意識の強さに深く感心してしまいました。<KY>