スペインタイルアート工房東京教室の生徒と講師の作品展2009が無事に終了しました。今年は新聞で紹介されたこともあり、以前にも増して多くの方がご来場くださりとてもうれしく思います。心からお礼申し上げます、ありがとうございました。<YF>
さて、今年は「これ、どうやって作るの?」というような一見しただけではわからない不思議な技法を使った力作も多く、作者の了解を得てそのいくつかをご紹介しますね。
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アボリジニのデザインと色合いで作ったクエルダセカタイルです。両脇の青い部分、緑に混じった“蒼”を表現したもの。1997〜2000年オーストラリア滞在のなつかしい記憶からのイメージだそうです。極限の乾燥した内陸と、この大きな大陸を囲む青い海。古代アボリジニたちが残した洞窟壁画のような表現をしたかったとのこと。まず深緑の釉薬をのせて一度焼いた上にマットな透明釉薬をかけ、その上に青の顔料をぱらぱらとまいてみました。こんな風に一度焼いた色の上に違う色を重ねると思いがけない色合いになることもあります。
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油彩画風の風景画。白タイルの上に青や緑の顔料を混ぜたオイルで線を描き、ところどころクエルダセカの釉薬をのせて盛り上げています。同様の技法で作られた風景画タイルはGen’s Tile Art Shopでご覧になれます。
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黒いつぼがところどころ紫色に光っていますね。これはまずドロドロの粘土から鋳込んでつぼを作り、黒いエンゴーベを塗った後に引っ掻いて模様を出します。引っ掻いたところは元の白土が出てくるので白い模様ができるわけです。普通はこれで焼いて終わりですが、この作品はさらにひと工夫。引っ掻いて模様を出した部分にラスターを塗ってもう一度焼きました。紫色に光っているのがラスターです。こちらもGen’s Tile Art Shopの作品です。
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こちらも最後にラスターを組み合わせた作品です。
普通のマジョリカタイルを仕上げた後、周りにスポンジでラスターをのせました。濃くのせれば銅色になるラスターですが、薄くのせたので感じのよい紫色になりました。講師になるための勉強中である在校生の作品です。
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こちらはひとつひとつの粘土を手彫りでレリーフにし、その上から緑や黒のエンゴーベで絵付けした後にヒビの入る透明釉薬をかけました。最後にのせた金色のラスターも豪華さを出していますね。
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はすの花と水の中ですいすい泳ぐ金魚が印象的な作品。この金魚達は白いタイルの上に直接顔料で金魚を描いた後に一度焼いて、上から水色の透明釉薬を流したもの。こんな風に先に顔料で描いた後に上から釉薬をかけてもおもしろい表情になりますね。はすの花は、赤土で一枚一枚の花びらを形作った後に組み合わせて素焼きし、上から不透明な白色釉薬をかけて色づけしました。これらの独創的な作品は、M’s Factoryでご覧になれますのでぜひお越しくださいね。
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そしてこの素敵なイス。
これも一度焼いたタイルを貼ってあるんですよ。タイルの表面がつるつるになっていないのは、エンゴーベで絵付けしたからです。ろうけつ染めの色合いを参考に素朴な感じに仕上げたかったので、色エンゴーベで絵付けしてそのまま貼り付けました。森の中のひっそりとした感じがよく出ていると思います。
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ドットで模様を作った作品。作り方はいたってシンプルですが、一色で模様を作るなんて私も思いつかなかったです。白タイルの上に細かく下書きし、慎重に釉薬を落として絵つけします。釉薬が一度はみ出してしまうと取りきれないこともあるのでかなり慎重にやらないといけない作業ですよね。一度焼いた後にヒビの入る透明釉薬をかけて2度焼きします。こちらの作品はいろといろ工房のショップサイトに掲載されています。
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最後に私の作品です。普通のマジョリカタイルなんですが、色を濃い目にのせて後から白地がでるように線を引っかきました。ただの水彩タイルでも引っ掻いたり重ねのせしたりするだけで表情がかわりますよ。
皆さんも参考にしてくださいね。
スペインタイルアート工房HP