以前からずっと行ってみたかった九谷焼の産地、石川県の加賀地方へ行ってきました。今現在、九谷焼が生産されているのは加賀市や小松市、能美市のあたりですが、観光客が気軽に窯元やお土産屋で実際の九谷焼に触れられるのは山代温泉のあたりから山中温泉のあたりになります。もちろん金沢にも素敵なお店、窯元直営のお店もありますが、実際の窯場や美術館、資料館などは山代温泉付近に集中しています。私は今回小松空港でレンタカーをし、1泊2日でこの周辺を散策してきました。
こちらは空港のロビーの壁に飾られていた巨大な陶板画。紫と緑の絵付けが九谷焼らしい色合いです。
山代~山中温泉を周遊しているバスもあるので、これを利用しても良いと思いますが、私は今回山中温泉奥にある山中漆の里の見学と、九谷より前の古九谷(こくたに)の発祥の地がある山中漆の里のさらにさらに奥まで行きたかったのでレンタカーにしました。
まずは九谷焼の歴史と変遷のお勉強から。石川県立九谷焼美術館に行きました。
ちょうど企画展が「古九谷の大皿に観る筆の冴え」という興味深いタイトル。
美術館入り口からして九谷焼。傘ハンガーも傘立てもステキでした。
ここで学んだことは
”上手い絵付けとは単に綺麗な絵付け。美しい絵付けとは「上手い」ではなく、たどたどしくても心がこもっている絵付け。本当に美しい作品というのは、たとえ千年経っても新しく見える魅力を持っている”
という九谷焼の精神です。納得。何度もうなづいてしまいました。
数々の美しい古九谷の作品にすっかり魅了されてしまいました。緑の溢れる公園の中に佇むこじんまりとした美術館で、とっても素敵な空間でした。
さて、次に訪れたのは山代温泉の中にある北大路魯山人の元アトリエ兼住宅跡。
陶芸家や美食家として有名な魯山人は、ここ山代温泉の九谷焼の窯元、須田精華に師事し作品制作していました。小さな庭園に面した縁側でお茶と落雁の嬉しいサービスをいただき、魯山人もこの縁側でお茶を飲んでたのかなーなんて想像を膨らませてしまいました。
お次は同じく山代温泉にある九谷焼の絵付け体験へと向かいます。
日曜日の午後ということもあってか工房は体験の人たちでいっぱい。まずは絵付けするお皿のサイズや形を選びます。デザインは基本自由。決まってない人はたくさんのサンプルの中からデザインシートを借りることもできますが、私は持ち込みました。大好きな花、クリスマスローズをデザインしていきました。丸皿を予約していたのですがなぜか売り切れで、急きょ角皿になってしまいましたがまーいいか。
まずはカーボンでデザインをお皿に転写します。その後呉須(ごす)というこげ茶色の顔料でカーボン線の上、つまり縁取り線を先に描いちゃいます。スペインタイルとは順番が逆ですね。ちなみにこのお皿は磁器で、一度焼いてあるので表面はツルツルの状態です。
ここで美術館での格言を思い出し。「上手い」より「美しい」絵付けを目指して心を込めます(笑)
縁取り線はカーボン線からはみ出ても問題なし。焼くとカーボン線は消えてしまうのはスペインタイルと一緒です。
線描きが終わると今度は色絵付け。九谷焼の色は五彩「赤、黄、緑、紫、紺青」での絵付けが基調とされてます。私もなるべく九谷焼らしい色合いでの絵付けを目指しました。スペインタイルの釉薬をさらにドロっとさせたようなガラス質の絵の具を使用します。スポイトはもちろん無いので筆でポトポト落とすように彩色します。この絵の具の厚さが重要のようです。厚盛りしすぎるとひび割れや、本来の色が出ないとアドバイスをいただきました。
にもかかわらず、焼き上がりを見てみたら花びらに複数のひび割れが。。。
コレ、厚盛りだったのね。スペインタイルの感覚でのせてしまった。。。しかも九谷焼っぽくない??
ま、これもいい勉強になったということにし、念願の絵付け体験ができたので満足でした。
明日は山中塗りの里へ向かいます。こちらは次のブログで。
漆に興味のある方、楽しみにしていてください!<KY>