エジプトの旅第3弾、今回もルクソール(Luxor)編です。
前回はナイル川クルーズを中心にお届けしましたが、今回はデンデラ(Dandarah)というところにあるハトホル神殿とルクソールの西側にある王家の谷の中のセティ1世のお墓をご紹介します!
どちらも壁画や天井が素晴らしく綺麗だったのでこの2箇所について書きたいと思います。
どちらもちょっと不便な場所にあり、タクシーをチャーターして行きました。
まず1つ目のデンデラはルクソールから北に50kmくらい行ったところにあり、タクシーで約1時間半くらいの旅でした。

ここにあるハトホル神殿(正式名称:デンデラ神殿複合体)は現地在住の友人が最もオススメの場所、ということで訪問を楽しみにしていました!
まず神殿の参道横にかわいいベス神を発見。

歌と踊りで邪気を払う魔除けの神様だそうです。ほっぺがピンクだし3頭身だしなんだかとっても愛らしい…
ハトホル神は愛と美、そして音楽の女神で、この女神に捧げられた神殿がハトホル神殿です。
それぞれの柱の上にハトホルの顔のレリーフが4面に施されているのですが、ほぼすべて削られてしまっていて残念な姿になっています…

これは王権が変わるたびに新しい王の威厳を示すために、それまでの王の痕跡を消した説や、後世に偶像崇拝をタブーとするキリスト教徒によって削られた説など諸説ありますが、とにかくことごとくハトホルの顔は削られてしまっています…
さて、列柱室に入ってもハトホルの顔は…全部削られていますが、それより何よりすごいのが天井のレリーフです!!

きれいな水色がしっかりと残っていますよね?ずっと煤(すす)に覆われていたそうで、それを修復で取り除いたら元々の色彩が現れたそうですよ。修復で色を加えたわけではないそうです。すごくないですか?
この神殿は天体の動きに関わるレリーフが数多く描かれていて保存状態もとてもよかったです。

こちらは昼の12時間の太陽の動きが描かれています。
端っこで手をトンネルのようにしている人は天空神のヌト神。ヌト神が太陽を飲み込むと夜になり、太陽を産み落とすと朝が来る、という神話があるそうで、それを表しているそうです。

こちらは月の満ち欠けについてのレリーフ。
神話の中でホルス神(ハヤブサの神)がセト神に目をえぐられるのですが、14日でホルスが復活するという場面が月の満ち欠けになぞらえて描かれています。満月と共にホルスの目が復活した、ということらしいです。
とにかく首がもげそうになるくらい、いつまでも凝視していたいくらい美しかったです。ラピスラズリで描かれているそうですが贅沢の極みですよねぇ…
地下にはハトホル神のメナト(首飾り)や宝物の保管室があり、入場料とは別料金で入ることができます。

祭祀や儀式が行われるたびにここから宝物が運び出され、ハトホルがそれらを身に付けてにぎやかな音楽と共に祭りが執り行われていたようです。
狭い空間ですが、壁じゅう隙間なくレリーフで埋め尽くされていました!

こちらはそのメナト(首飾り)の壁画。ハトホルの顔付き(ハトホルは雌牛で表現される)です。本物の首飾りにもこの顔のパーツがくっついていたらかわいいな〜

こちらの壁画はハスの花の中にヘビが描かれていて、それをヘフ神という永遠を司る神が支えているという図で、宇宙の誕生を表すレリーフだそうです。
古代エジプトではハスの花は永遠の生命、ヘビは生命の再生を象徴しているそうですよ。
地下の保管室以外にもチップを払えば見せてもらえる部屋がありました。

ここには神事の時に使用する道具類が保管されていたそうですが、とにかく狭くて細長い空間。
突き当たりにはハトホル神。こちらをまっすぐに見据えています。
この空間はギリギリ人がすれ違えるくらいの狭さで、空気が薄くて長居はできない感じでした…
入り口もリュックを背負っていたら通れないくらいの狭さで、壁の穴から簡易階段みたいなものを登って入るのですが、通り抜けるのに必死で入り口の写真を撮るのを忘れました…
(これからエジプトに行きたいと思っている方、体力作りは必須ですよ泣)
観光客も少なく、静寂の中で美しい壁画やレリーフを見られるのがこの神殿の良いところです。ナイトミュージアムみたいに、一晩ここに寝っ転がっていつまでも天上画を見ていたい気分でした!
さて2つ目はナイルの西側にある王家の谷の中のセティ1世の墓をご紹介します。

こちらも人里離れた岩山を越えたその向こう側までタクシーをチャーターして行きました。そもそも盗掘を防ぐためにわざわざ人目につかない谷を選んだとのことですが、その努力も虚しくことごとく盗掘に遭っています…(ツタンカーメンの墓だけはほぼ未盗掘で発見されました)
ちなみに東側から行く場合は、まずフェリーで西側に渡る必要があります。
私はこの時は西側に宿を取っていたので、そこからタクシーに乗って約1時間くらいでした。
王家の谷には数多くの歴代ファラオの墓がありますが、私が訪れた時は、長らく修復で閉鎖されていたセティ1世の墓が公開されたタイミングだったので、迷わずここに行くことに決めました。(もちろんツタンカーメンの墓も行きました)

ここは3000年以上前に作られて、発見されたのは1817年。その時はすでに黄金の副葬品もミイラも全て無くなっていたそうですが、それでも状態の良い鮮やかな壁画だけは残っていました。
この墓は深さ100m、全長137m超えの王家の谷の中でも最大の墓とのことでした。深さ100mってすごいですよね…入り口からして鍾乳洞に入るような気分でした。

長~い通路を降り続けるのですが、その間、壁じゅうにびっしりと壁画やレリーフが施されています。そして入ってすぐの壁画からしてすでに色鮮やかで目も心も奪われてしまいます…


少し広い空間に着いたと思ってもその脇にも小部屋があり、さらに地下にも部屋が続いていたりとまさにダンジョン。そしてまだまだ先に通路が伸びています。

一体こんな巨大な空間をどのくらいの年月をかけて作ったのでしょうね…
下描きの状態で未完の壁画もありました。

黒の線で縁取りだけを描いたもの。よーく見るとその下にはうっすら赤い線で当たりをつけたようなラフスケッチも見られました。左上にはフンコロガシの姿をしたケプリ神(復活のシンボル)も描かれています!
やっぱりこうやって下絵を写してから描いてたんだな、と妙に納得してしまいます。
そしてこの墓のメインはこの玄室の天体図です!

古代エジプトで初の天体図だそうです。しかもほとんど劣化せずに色が残っています。紺碧の夜空に金色の星座や神々が描かれています。美しすぎました…

壁画とは思えないほど色鮮やかでした。アーチ型の天井に合わせてバランスよく描くのとか、かなり難しそうだと思いました。デザイナーもすごいけど職人も凄腕ですよね。


お墓の中なので、やはり壁画のモチーフは死者が冥界へ運ばれる様子が多く描かれていますね。

ヒョウの毛皮を身に纏ったイウンムテフ(ホルス神の化身)。黄色が目にも鮮やかですね!
この広大な空間が1人のファラオの墓としてだけを目的に作られたことに驚愕します。だって死者以外誰も入れないのですよ?誰の目にも止まらないのにこれだけの贅を尽くして何万人もの人手を使って何十年もかけて果てしない作業を続ける大変さよ…当時の人々に想いを馳せ、ただただ脱帽しながら元来た通路をひたすら登り続けるのでした。墓の中も蒸し暑かったけど、外に出たらもっと暑かった…王家の谷には墓の中以外、日影がないです。今後行かれる予定のある方は、日焼け対策を十分にして行ってください!<KY>
あっ!あと1回分、エジプトブログ続きます。最終回は何を食べても美味しかったエジプト料理の紹介と、一筋縄では行かないエジプト旅の注意点について書きたいと思いますので最後までお付き合いよろしくお願いします!