ガウディ建築 トーレ・ベリェスグアルド 後編

前回に続きバルセロナにあるガウディ建築のひとつ「トーレ・ベリェスグアルド(Torre Bellesguard)」をご紹介します。

*2017年訪問時の情報です

さて告げられていたツアースタートは10:30、この時点で客は私とドイツ人らしきカップルだけでした。(チケット売り場でドイツ語のオーディオガイドが無いので英語バージョンを借りてました)

ここはグエル公園から2~3km西側にあり、観光の中心から離れているためか

オーバーツーリズムが問題になっていた2017年のバルセロナでもガラガラでした。

男性ガイドがやってきて正面玄関から入場。

言葉が通じないと思われていたのか? ほぼ無口なガイドでした。説明はオーディオガイドがやるので、彼はただただ私たちを連れ歩くだけです。

玄関ホールは上階まで吹き抜けで、壁に沿って階段が続いています。腰壁にはびっしりタイル。玄関ホール全体の写真が撮れなかったので、上階から見下ろした写真です。

玄関ホールには素敵なモザイクの手洗い鉢。手洗い鉢と書きましたが、実際何でしょう? スペインでよく見るけど、アンティークやインテリア・エクステリアの飾りとして使われている気がします。でも今は感染症の時代。これが現役の手洗い鉢なら、まぎれもない実用品です。

サン・ジョルディのドラゴン退治。日本では本の日で有名になりましたね。
サン・ジョルディ=聖ジョージ=聖ゲオルギウスで、ドラゴン退治で有名なキリスト教殉教者です。ドラゴン(悪魔)退治の絵画や像はもちろん大天使ミカエルのほうが多いですが、サン・ジョルディはカタルーニャの守護聖人だけあって、バルセロナなどカタルーニャ地方では多く出会うことができます。

最上部にも可愛らしいドラゴンがいます。ここに昔はランプを吊したのではないでしょうか。

ステンドグラスの扉。光が透けているところを見てみたいです。

玄関ホールの壁や階段に一面貼られているタイルは、庭にもあったライオンとニワトリのタイルです。

照明は幾何学模様のステンドグラスが目を引きますが、細かな鉄の装飾が有機的で面白いです。

この照明を吊っている鉄の部分。電球が付いている…! 当時からのものでしょうか?
奥の踊り場?の柵はタイルモザイク。同じ白でも壁とは違う質感。

こちらのステンドグラスは、外側に星のタイルが貼ってあった窓です。
窓の脇から天井へ斜めに貼り出す梁がゴシックを思わせます。

喫煙室。この窓が正面玄関の真上にあたります。3階か4階だと思いますが、スキップフロアのようになっていて何階だか分かりませんでした。

このバルコニーからは庭の城跡が見えます。

喫煙室の天井。

喫煙室の奥に未完成のまま残された広い音楽室。なぜ完成させなかったのかは今のところ分かっていないようです。圧倒的な梁に興奮! 地震の国の人間から見るとかなり怖いですが…

屋上へも出られます。階段は狭く一人しか通れません。

これは顔に見えますよね? 実際ドラゴンの顔なんです。もうちょっとカメラが広角だったら鼻先まで写ったのですが残念。鼻先がどうなっているか気になる方は「bellesguard dragon」で画像検索してみてください!

「トーレ・ベリェスグアルド」のトーレは塔、ベリェスグアルドは良い眺めという意味です。塔の先端は突起のある十字架になっており、ガウディ建築ではよく見られる形です。これは糸杉の種子がモチーフになっているそうです。

こちらはバルセロナ中心街にあるカサ・バトリョの十字架。同じ形ですね。

スペインでは糸杉は墓地によく植えられています。死の象徴でもある木ですが、大きな屋敷だと庭木にもなっていたり、あちこちでよく見かけます。(写真はスペインの墓地)

ギリシャの遺跡にやたらあるな~と思ったのが糸杉を認識したキッカケだったと思います。以降、何かと気になる木になりました。

種子の写真が手持ちにないか探したのですが、分かりやすいものが無く…。この茶色いやつが地面に落ちると開いて、ガウディの十字架みたいな形になります。これもスペインで撮影。

屋上からの眺め。どこの城も要塞の役割があるため見晴らしが良いです。左端の丘の向こうに小さくてよく見えませんがサグラダファミリア。正面には光ってこちらもよく見えませんが地中海が広がります。

右奥は1992バルセロナオリンピックの会場があるモンジュイックの丘です。といってもバルセロナオリンピックは見ておりません… 当時はちょうどギリシャ旅行中で、テレビのあるような宿に泊まっていませんでした。オリンピックTシャツを着たギリシャ人が「オリンピックをアテネに招致する運動をしてるんだよ」って盛り上がっていて、オリンピック期間中だと気付いたくらいでした。

屋上。なんだかアスレチックみたいです。石も竜のウロコのように見えます。

ツアーは20分強で終了。建物の外の見所は各自オーディオガイドを頼りに回ります。完全なガイドツアーだと、建物の外もガイドさんが説明するのかもしれません。

建物は近くでみるとかなりゴツゴツしています。

細部までとても興味深いです。望遠レンズが欲しい…

石の柱が木のように壁をつたっています。水道管でしょうか? まさかただのオブジェ?

建物に向かって右側にある旧厩舎の入口。地面から生えているのはバラ、窓に並んでいるのはペチュニアですが、色が揃っていて華やかです。

旧厩舎の扉には特徴的な取っ手が。17世紀、この城跡に隠れ住んでいた庶民に人気だった盗賊セラロンガに敬意を表し、その大腿骨をイメージして作ったそうです。捕まって処刑されたあと遺体をバラバラにされ、その一部がベリェスグアルドの城跡に挟まっていたという伝説があるようです。

ガウディはベリェスグアルドの土地の歴史を全て詰め込もうとしたのですね。

旧厩舎の内部。セミナーか何か出来そうな雰囲気です。ベリェスグアルドの庭をはじめ、敷地の一部は結婚式やイベント等にレンタルもしているそうです。

さて帰国して写真を見返して、初めて気付いたことがありました。

こちらの写真のツタが絡まる怪しい柱。葉を落とされたヤシの木でした… 建物に溶け込みすぎていて、人造物だと思い込んでいました…

また海外旅行が気軽に出来るような世の中に早くなりますように。
行かれるときは公式サイトで最新情報をチェックしてくださいね。<RK>

Bellesguardオフィシャルサイト https://bellesguardgaudi.com
GoogleMapへのリンク https://goo.gl/maps/9CUWvqTYZMQ1i2789

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