「民藝の100年」展

「民藝の100年」展を見に国立近代美術館へ行って来ました。

また民芸ですか?って思われてる方も多いとは思いますが(笑)やっぱり好きなんですよね~、素朴な民芸品が。

ちょうど1年前に民芸運動の提唱者のメンバーである河井寛次郎と濱田庄司について、京都と栃木の益子を訪ねたもようをブログで紹介しました。

今回の展覧会は、この民芸運動の発起人でもある柳宗悦にスポットを当てた展覧会です。彼が設立、初代館長を勤めた日本民藝館(東京・駒場)が特別協力した大規模な展覧会でした。

館内は基本撮影禁止でしたが、柳宗悦の自宅の書斎を再現したコーナーだけは撮影できました。

ちなみに日本民藝館の敷地内には旧柳宗悦邸があり、そちらの書斎の一部を展示しています。

今回の展覧会で一番興味を持った展示は、型染作家の芹沢銈介が描いた「日本民藝地図」です。

写真で紹介できないので、雑誌「芸術新潮」10月号の民藝特集の記事よりご紹介します。

記事の下部、見開きの両面に渡ってカラフルな日本地図が掲載されているのがわかりますか?

実物は縦横170cmx1332cmの巨大サイズなのですが、全国それぞれの県、地域に根付いている様々な民芸工芸品の分布図が示されているのです。

この雑誌では小さすぎてよく見えないのですが、工芸品の種類(例えば焼き物、漆、染め物、木工、竹細工、藁、鉄、農具、馬具など)の印がアイコンのように並んでいて、実際に作られている地域にそのアイコンを付け、さらに窯や製作所の名前までもが併記された、とても緻密な地図なのです。

当時はもちろんネットもSNSもない時代。柳をはじめとした民芸運動の仲間で実際に全国を歩いて自ら見つけ出した民芸品の数々なのだそうです。気が遠くなるような作業ですよね。。。

これを見て、民芸品はそれぞれの地域に昔から根付いていて生活に必要な道具だったんだろうな、と感じました。美しいものを作ろうと考える前に、生活必需品を使い勝手の良い道具にしよう、という思いで作った結果、シンプルで美しく馴染みやすい物になったのでしょうね。

沖縄から北海道まで順番に見て行ったのですが、地場産業がわかったり、新たに知らない窯元を発見したりして、とても面白かったです。次の民芸の旅はあの地域にいこう!なんて考えながらじっくり見ることができました。

今回の展覧会には実際にこの地図に示されていたような素敵な民芸品がたくさん出品されていて、大変見応えのある展覧会でした。

なお、民芸運動の歴史や変遷についてはこの芸術新潮の民藝特集がとてもわかりやすくまとめてくれています。

展覧会に行く前にこれで勉強してから行くと更に楽しく見学できると思いますよ。興味のある方はぜひ行ってみてください!

さて、最後に私事でご報告があります。

夫が海外転勤になり、来年4月より4~5年ほどオランダに行くことになりました。

教室勤務は年内12月末をもってしばらく休業させていただきます。

来年1~3月まではブログの更新は続け、現地の生活に慣れてきたらオランダより現地の様子をブログで紹介できたらいいな、と思っています。

オランダにも素敵な陶絵付けのデルフト焼きがあります。戻って来た時に、現地での体験や知識を活かせるようにしっかり学んでこようと思っていますので、皆さんも今まで通りに教室に通ってくださると幸いです。どうかそれまで待っていてください!<柳沢>

タイトルとURLをコピーしました