地中海地方の考古学博物館には、まず置いてあるローマンランプ。
私は専門家ではないので、ローマンランプの定義は分かりませんが、今回は「古代ローマ時代に作られた、本体上面が凹んでいるテラコッタ製のオイルランプ」についてです。
これはイギリスのV&Aで撮影したもので、いろんな時代の陶製ランプが並んでいます。
ただここには今回の話題にしたいローマンランプがありません。
記載はありませんが古代ローマ帝国の後、ビザンティン時代のものだと思います。
今回研究するローマンランプはこの写真のようなタイプ。
(マドリードの考古学博物館で撮影)
中央は少し窪んで皿状になっており、油を注ぐと小さな穴から本体に油が入ります。
穴を狙って注がなくても、皿状の部分に注げば油が入ってくれます。
博物館や美術館で「これ欲しいなー」って思うこと、ありますよね。
レプリカを買うほどでは無いけど気になる品。
私にとってローマンランプはそんなアイテムで
初めて見たのがいつかは覚えていませんが、その頃はどう使うものかも分かりませんでした。
さて自分で服を作るようになってから
以前にも増して「欲しいものは作ればいい」と考えるようになり、
ローマンランプも作ってみることにしました。
今回のブログはローマンランプを研究して、制作していく話です。
まずは粘土で原型を作ります。
形は過去に撮影したものや、展覧会の図録、ネットの写真などを参考に。
この原型を上半分・下半分と分け、2型の石膏型を作ります。
鋳込み型でなく押し型です。
実はすでに一回失敗していて、これはその時の写真。
下半分の石膏型。書いてある二重丸は高台用の線で、この後で掘り込みました。
粘土を入れて抜いてみましたよ。
上下合体させてから、中央と火口の穴を開けました。
これは裏(底)側。結局高台は無しにしました。
火をつけると熱いかな?と思って高台を作ったものの、特に熱くならないんですよね…
本体も少し大きく(高く)なってしまうので高台はやめました。
石膏を削ったのは無駄になりましたが、何事もやってみないとわからないものです。
今回は本当のオイルランプにするため、陶芸粘土を使っています。
(教室で使っているスペインの赤土です)
単に見た目が同じコピーを作るだけなら紙粘土でも良いし、しっかりした中空にしなくても良いかもしれません。
ローマンランプは釉薬をかけず素焼きしたものらしいのですが、
素焼きだと中に入れたオイルが滲み出しそうな気がして
今回は素焼きしたあと内側に施釉しました。
ここでローマンランプでは無くなりましたが良くあること。
いよいよ火がつくか試してみます。
燃料として食用のオリーブオイルを入れ、綿ロープを差し込んでみました。
ロープがオイルを吸い上げるまで数十分待ちます。
点火! 成功ー!
ちなみにオリーブオイルは作業用に使っている数年前に賞味期限が切れたオイルです。
最近のお高くなったオリーブオイルは燃やすなんてとてもできません。
しかしここから火を安定させるため試行錯誤することに。後編へ続く…
ご自分で試してみる方は、火事や火傷の責任は取れませんので
自己責任でお気をつけて!<RK>