今回は私が勉強している陶磁器の修復作品のいろいろを紹介したいと思います。
道具は大体写真のとおりで、スパチュラというステンレス製ヘラ大小とスカルペルという削り針数種類(スペインタイルでもお馴染みですね。)、そしてやすりの番手違い数種類を使用します。
顔料は約50種類。でも基本三原色の赤・青・黄+白があれば、だいたいの色は作ることができます。これらの顔料に接着剤を混ぜ合わせ、充填剤を作ります。
修復の仕方は実にさまざま。100点作品があれば100通りの修復方法があります。今回はその修復方法の一部を写真を例に紹介します。
まずはイギリスのロイヤルウースターの絵皿です。かなり使い込まれていて、上絵付けされてる草花がすり減って、色あせた感じになっています。これをほんの少し色鮮やかに仕上げました。
ただ、アンティークものの場合、やり過ぎは禁物です。古びた感じを残しつつ、色を少しずつ補填しました。ニュアンスが大切なのです。
お次はデンマークのロイヤルコペンハーゲンの飾り皿。こちらは透かし彫り部分が完全に欠損しています。まずは土台となる欠損部を成形・接着し、その上に青の顔料でドットを描き、更にツルツルの透明釉を表現するためにトップコートを施します。三段階の作業が必要でした。
それから日本の織部の手付千鳥扇角鉢。こちらは把手がバラバラでした。さらに千鳥模様の上に古い修復が施されていて、不自然に全体の色が黄ばんでいました。
こんな時はクリーニングで古くて汚ない接着剤を除去してから本体と把手を接着します。見違えるようにきれいになりました。やはりこれも手をかけすぎないのがポイントでした。本来の風合いを引き出してあげるのも大切なポイントです。
最後に日本の隅田焼き。これは完全に折れてなくなってる手や枝、耳、足、着物の裾などを成形し、色をつけます。
手や足は、残っている手足を参考にしたり、他の隅田焼きの作品例を見ながら想像で成形します。焼き斑やザラザラ感を損なわないよう、わざとざっくり仕上げることも重要です。
ざっと紹介しましたが、いやいや奥の深〜いお仕事です。足掛け5年やってますが
まだまだ半人前。しばらくは修行が必要ですねぇ。<KY>