ヨーロッパ現地の陶磁器絵付け職人って男性が多いですよね?スペインタイルアート工房からも男性タイルアーティストが誕生!「絵付け職人になりたい!」と教室にいらした数年前を思い出します。<YF>
私:“絵付け職人”になりたかった?
M:高校生の時にテレビで目にした“スペイン陶器の色鮮やかさ”に一気に引きつけられた。これを作れる職人になりたいな、って思った。でもどうやったらなれるか分からず、他にもいくつかやりたいことがあったから今までそれをやってきたけど、やっぱり最後に残ったのがこのマジョリカ焼きだったんだ。残ったというよりどうやったらなれるか分からないから本当に自分のやりたい事から逃げてたんだと思う…そして逃げ切れなくなった。
29歳の時スペインに行った。本場の陶器やタイルを直に見て、本当に自分はこれをやりたいか、自分の気持ちを確かめるために。スペイン各地を回って「やっぱりやろう」と決心、でもその頃は『マジョリカ焼き』なんて名前も知らず学校が全然見つからなかった。まずは日本の焼き物をやるしかないなと思い、作風が好きだった益子の窯元に何度も通い「弟子にして下さい」と50軒くらい回ったらいくつか「良いよ」といってくれたところがあってそこに行こうと思っていた矢先、ふとしたきっかけで『スペインタイルアート工房』を見つけた。ホントに数日の差だったなあ。こういうモノの出会いや人との出会いって面白いなって思うのと、だからこそ大事にしたいといつも思う。
私:話変わるけど武道を教えているって?
M:実はテコンドー、ボクシングときて今は合気道を教えてます。合気道っていうと袴をはいて「エイッ」って相手が勝手に飛んでくれるイメージだけど、僕のところは手、足の打撃あり、立ち関節、投げあり。まぁ寝技なしのケンカと思ってもらえれば良いです。この前は無差別級の試合で極真空手世界大会重量級3位になったことのある人を倒しましたよ。生徒達には「やっぱり魔人だ、化け物だ」って言われてる(笑)。
私:武道の先生と二足のわらじを履いたわけですね。タイル絵付け職人になってアトリエM’s factoryを作りました!男性ならではの感性が活かされていて素敵な作品ばかり!ところでM’s factoryのウリって?
M:『自由さ』かなぁ。何かに固定化するのはいつでもできる。決まった形を作らずにお客様に「こうしてほしい。ああしてほしい」と言われるところから始めたい、そこからまたアイデアが生まれたりして(そこに行き着くには産みの苦しみがあるけど)それが楽しい。だからどんな要望にも応えられるようなるべくニュートラルでいたいと思う。でも自分で作るとなるとやっぱり男なんですね、乗り物や建物の作品が多くなっちゃいます。
私:「猫ガリガリ防止アートタイル」や「愛車を表札に」のアイデア、いいですねぇ。
M:これからもアートタイルや表札、お店の看板などを中心に制作して行きたい。タイルの質感って人をホッとさせるものがあると思うからたくさんの人に見てもらって、触れてもらって少しでも今の世の中を明るくしたい!毎年冬には地元埼玉県川口市の展覧会に出品して感性を磨いていきますよ。あ、そうそう、護身術に興味ある方、教えますのでぜひいらしてください。
そういうわけで、M’s factoryの制作風景とオリジナルタイルをいくつかご紹介しますね。細長いタイルが壁に貼る「猫ガリガリ防止用タイル」。愛車のタイルは下書き段階から焼き上がりまでの工程です。