展覧会出品作品 (2017年オールドキッチン 1)

今回から2017年にスペインタイル装飾展(東京)に出したミニチュアドールハウス「オールドキッチン」をご紹介していきます。

どんなドールハウスにするか考えるとき、まず作りたいアイテムを考えます。今回の場合は「バレンシア風の壁絵タイル」と「吊り下げニンニク」が作りたいなあ〜 →キッチンにしよう、となりました。次に設定を考えます。

はじめはちょっと昔のこぢんまりとした庶民キッチンが作りたかったのですが、壁に絵タイルがあるのはお金持ちのキッチン…

ということで「オールドキッチン」の設定は「ひと昔前のスペイン・バレンシア地方にあるお屋敷の台所」で料理人たちが主人公に決定。季節は秋口ですが、一部季節外れのものも作っちゃいました。

次にハウスに絶対必要なものを考えます。今回の必須アイテムはキッチンストーブ、壁のバレンシア風タイル、揃いの食器とカップボード、調理台。これらのサイズと配置を考え、壁と床に貼るタイルがうまく収まる大きさのハウスを設計します。最終的に箱の外側が21.2×32.2cm、高さ23.3cmとなりました。中途半端な大きさなのはタイル優先で作っているからです。

ハウスの形は壁のタイルが正面から見られるボックス型にしました。

その他、ハウスに造り付ける造作物を考えます。今回はニンニクを吊すための天井の桟と煙突が必要で、ついでに煙突の縁に飾り棚を作ることにしました。それらも設計図に組み込みます。必要なタイルも設計図に書き込みプリントアウトしたらやっと制作開始です。

さていきなりボックス組み立てが終わっていますが、何年やっても作業中に写真を撮り忘れちゃうんですよね… 外箱は9mm厚のシナベニヤを使いました。

壁を塗ってキッチンストーブ&キッチンカウンターを置く場所を作り、床にタイルを貼る目安線を引いたところです。木肌そのままの部分はタイルを貼るところ。

ボックス奥に造り付けるキッチンカウンタートップは工作材のヒノキ板を使用。丸い穴はコンロで、写真では分かりにくいですが段差があり、蓋がはまります。右の四角い切り込みにはシンクが来ます。

レンジフード。といっても換気装置ではなく煙突の下部になります。斜めに作るのはちょっと面倒でした。

天井の桟。写真は天地逆になっています。桟の長さを確認するためレンジフードを仮置きしています。

木工と平行してタイルも作っていきます。小さなタイルの既製品はないので粘土から作ります。これは焼き上がったところ。”汚れ”のついている感じのタイルはキッチンカウンターの床に使います。古いレンガが煤で汚れている設定。

キッチンカウンターにレンガ風タイルを貼り、手前の床タイルを貼る部分を巾木で囲みます。

この床タイルを貼る部分がちょうど15×30cm。1マスが3cm角です。計算しやすい数字にすることで、デザインも制作も楽になります。

床にタイルを貼っていきます。まずマヨルカ技法で絵付けしたタイルを接着。デザインは3種類ですが、配置はあらかじめ決めてあり、それぞれ必要数を出してから描いています。

周囲の三角タイルは四角いタイルをカットしているのではなく、粘土の段階から三角に作ります。焼いてからカットすることもありますが、いびつになるリスクが高いです。

次に六角形のタイルを接着。手作りの限界で微妙に大きさが揃いません。まず全部のタイルを仮置きして、バランスを見て配置換えしてから接着します。

目地入れ。もっぱら石粉粘土を使っています。この工程が一番楽しいですが、目地入れが特別に好きなわけではなく、出来上がりが見えたことが嬉しいのでしょうね。

目地が乾いたらタイルの上の目地を拭き取って出来上がり! 床はこれで完成です。

アップにするとこんな感じ。絵タイルは約12.5mm角です。

他のタイルも作っていきます。上の花はキッチンカウンター用。下の野菜類は煙突用で8~9mm角。

煙突にタイルを貼ります。順番を決めて仮置きし、端と真ん中から貼るとバランスが取りやすいです。

ここにも目地を入れます。

左右にも貼りました。完成したらほぼ見えない場所ですが…

今回はここまで。次はキッチンストーブと壁のタイルをご紹介します。<RK>

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