前回の続きです。廊下の壁に貼るタイルを制作します。
使用タイルは15×15cmが90枚、15×7.5cmが18枚。15×7.5cmは全て「空」部分のため実質90枚の絵付けです。もちろん全て並べて絵付けできる場所は無いので、部分的に出したり片付けたりしながらの絵付け。
デザイン転写に3~4日。鉛筆描きだけで2週間かかりました。
時間がかかった訳は、転写元写真の画質の低さにあります。200万画素くらいのカメラだったんじゃないかな?
これが転写用に15cm角に伸ばした一部です。建物のぼやけも凄いですが、木々もまるで判別できません。というわけで手元にある写真集やネットの写真、果てはグーグルストリートビューを駆使し、不明瞭な場所を補正しつつの鉛筆描きとなりました。
絵付けは種類別にしていきます。
まずは空、山、崖、土の部分。そして建物。クエルダセカ技法ですが、上から顔料などで実際の建物にある汚しを入れます。これも写真とにらめっこ。
最難関は木々。まずは分かりやすい糸杉とポプラから。(といってもどれが糸杉でどれがポプラかほとんどは不明)
次に木々の間の影部分。画像ではアイボリーっぽい釉薬ですが、焼くと深緑になります。
他の木々は何の木かまるで分かりませんが、できるだけ実物に近くなるよう絵付けしていきます。
また木それぞれ単色ではなく、明るい部分と暗い部分に釉薬を乗せていきます。もっと小面積のタイルならその必要は無いのですが、さすがにこの大きさだと単色ではのっぺりしそうで。
ひたすら流して延べ75時間。全て釉薬で埋まりました!
木は自然物なので釉薬がはみ出しても修正しません。絵付けはどんどん進みます。流す場所を探すほうが時間がかかります。
それでもこれだけの面積を埋めるには時間はかかり… スポイトで指が痛くなったのは初めてでした…
焼き上がった全景写真。修正は無しです。
和室しか広げられる場所がなく、椅子に登って撮ったのですが大きすぎて真上から撮影することは不可能でした。
さてついに施工です!
下からどんどん貼っていきます。今回は絵タイルということもあり目地はいれません。ただしタイルは温度によりわずかに膨張・収縮します。この施工は真夏でしたが、冬に施工する場合は気持ち隙間を空ける必要があります。
*目地を入れれば目地が膨張・収縮のクッションになってくれます
タイルの上と左右に隙間があります。この隙間いっぱいまでタイルを貼ることも出来たのですが、実はこの隙間、左上と右上で幅が違うんです。古い家なので、1cmくらい違ってきちゃうんですね。そのため絵タイルは作りやすいサイズで制作し、隙間はパテ埋めすることにしました。
タイルを貼り終えたら接着剤の硬化時間を待ち、一日経ってからパテ埋めします。
タイルの左端の隙間は既に埋まっていますが、こちらは木材を着色して埋めています。パテは左右で幅の違う上部のみ。
パテが乾いたら茶色に塗って完成です!
廊下の幅は80cmくらいしかないので、もう正面からタイルを見ることはできません。 こんな所に貼ってもったいないと家族には言われますが、大きいタイル画を絵付けしたいだけの気持ちで作ったので満足です。
こちらは和室で撮った写真をPCで補正した全景写真。近くで見ると木など適当なものですが、遠目で見るとなかなか力作に見えます。
そうそう、上の白黒デザインシート部分も出来上がりを載せておきますね。自分で言うのは何ですが、なかなか頑張って判別したと思います。
さて緊急事態宣言が続き、皆様も我慢の日々が続いていることと思います。どうぞうまくストレスを発散させながら安全にお過ごしくださいね。教室でお目にかかれる日を心待ちにしています。<RK>