ミニチュアハウス「タイル工房」の最終回です。
完成画像をまとめてご覧いただきます。
まず俯瞰の写真。
ドア、窓はきちんとシンメトリーに出来ました。
1階ドアと直上の2階バルコニー窓は幅を同一にしています。
ドアの右側の壁が開きます。
少し隙間がありますが、本当はピッタリくっつくはずでした。
仮組みの時はくっついていたのですが、どこかで計算がズレたようです…
風見鶏と東西南北のパーツは展覧会会場への持ち運びの際、壊れないよう取り外せます。
どちらも差してあるだけなので回転しますが。
東西南北も回転するのはどうかと思いますが、飾る時の気分で方向を決めます。
壁を開いたところ。
展示中の写真ですが、階段の下に木材があります。
ストッパーが必要なことに気づき、直前に作りました。
壁の上下にはモールディング(装飾材)や見切り材をつけています。
1階ドアはスペインらしく内開き。
1枚目の写真の方がわかりやすいですが、ドアの外側に黒丸が付いています。鍵です。
工房のタイル看板はモールディングの直下に貼っています。
先に1・2階の高さ、ドアのサイズを決め、
看板などは残りのスペースに収まるよう後でデザインします。
タイル看板の幅は14cm。縦は約1.6cmです。
モールディングは薄い木材を何本か削って重ね、飾り切りのように見せています。
そのまま視線を上に上げると2階のバルコニー。
バルコニーの床は2階の床とフラット。
2階の床をもう少し厚く作れば、ドア上からバルコニーまでもっと余裕ができるのですが
持ち運びが大変になるので、ハウス全体の高さをギリギリまで抑えました。
窓のある部分の床タイルは、窓の縦枠がはまるように角を削っています。
本来なら外側に雨戸(鎧戸)を付けるべきですが、今回はデザイン上邪魔と判断して付けませんでした。
アーチ壁のタイルはクエルダセカ。ここには27枚貼ってあります。
1階のドア周りはマヨルカタイル、窓の外壁側はクエンカタイルにしています。
「タイル工房」ということから施工見本になるよう、様々な種類の技法を使いました。
下の写真の天井のソカラトタイルも、様々な技法ということで使用。
さて、最初の方にドアの鍵のことを書きましたが、内側には取手が付いています。
外から鍵を差し込んで回しながら押して開けるドアで、
極端な話、外側にドアノブがなくても問題ありません。
スペインでよく出会ったタイプのドアですが、もちろん外側に取っ手があるドアもあります。
またスペインの住宅では壁の下地がレンガ積みのことが多いですが、
ドアや窓をはめる部分はレンガを積まず、空いた穴に木枠を嵌め、ドアや窓を取り付けます。
(最近は木枠でなく樹脂かもしれません)
下の写真でドア上部の外枠木材の幅が長いのは
少し昔のスペインの建築でこのような施工をよく見かけたから。
ただのデザインかもしれませんが、レンガの重みを分散する目的があるのかも。
シンクの上辺と窯の高さは、同じくらいに揃えてあります。使いやすそうという理由。
窯の上に乗っているタイルは、窯出しした(という設定の)タイル。
シンクの上に架かっている木材の左端に突起が見えますが、スポンジです。
実際のスポンジを切っただけのもの。
私はドールハウスを作る時、基本的に小物類は接着しませんが
スポンジは流石に飛んでいってしまうので接着してあります。
階段吹き抜けに面した場所には、落下防止のため鉄柵フェンスを設けました。
手すり部分だけ木材なのは自分の家ならそうするから。
とはいえ、鉄に見える部分も木材で作って黒く塗っているだけです。
タイルは昔作ったクエンカタイルの型を使用。約12mm角。
飾り物のドールハウスとして作る場合、2階の様子が見づらくなるため
ここにフェンスは付けない方が良いと思います。
ただ、私はどうしてもフェンスが無いと危険に感じてしまうし、
部屋の中に人がいられるスペースも作りたいし、ドアも出入り出来るように作りたい。
誰にでも譲れないこだわりってあると思いますが、私の場合はこういう部分ですね…
2枚目の写真とは別角度からの全体写真。
電気も全て点灯し、完成です!
ちなみにこのハウスが実際の家だとすると壁は開きません。
そのため1階の窯は玄関ドアから入るサイズ、2階の描き台は吹き抜けから吊り上げて搬入、
テーブルなどは部屋で組み立てた、みたいな、他人にはどうでもいい設定があります。
さて、一つだけ足りないものがあります。
それはタイルカッター・・・。
時間切れで制作できず、展覧会が終わってから作ろうかとも考えましたが
そんな気力はありませんでした。
ここまで長い連載にお付き合いいただきありがとうございました。
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